遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

この事故の教訓とは

この事故の教訓とは

 いくら願っても息子はもう戻ってきません。

 願っても戻らないのであれば、2度と再びこのような凄惨な事故を引き起こさないようにこの事故の教訓をしっかりと施策や仕組みとして形あるものに残してもらいたい、そして反省と今後の生徒らの安全を誓っていただきたい、遺族の願いはただそれだけです。

 先日、那須雪崩事故遺族・被害者の会で会合を持ちました。
 その中でこの事故の教訓として、形ある結果を残したいとの意見で一致いたしました。

 大会や講習会の運営方法を見直し、外部指導者を積極的に活用するなど部活動の在り方が変わり、部活動の顧問の先生方が緊張感を持って生徒の安全を第一に考えるような仕組みをつくっていただきたい。この事故を契機にそのような仕組みが生まれ、部活動での生徒の安全がしっかりと守られるようになったと後世で語られる、そうなることを願っています。

何も残らない

 しかし、今のままでは何も残りません。県教委の施策として数多くの対策と呼ばれるものが実施されているようですが、5年後10年後を考えたとき、形あるものとして何かが残るとは思えません。

 検証委員会の提言を受け、栃木県立なす高原自然の家に事故の記録を記した慰霊の場が設置されるようです。しかし、そんな形だけの場は数年も経てばホコリをかぶってだれも見向きもしないようになるでしょう。そんなものを残してほしいわけではありません。

 県教委が打ち出す対策の骨子は、経験の少ない顧問教諭らにさまざまな講習を受けさせ、数々のマニュアルを作成することで安全を確保することとなっています。しかしそれだけで事故の対策になっているとは思えません。顧問教諭らに県教委や文科省から出された通知や作成されたマニュアル類をしっかりと守らせるなどの制度設計はなされたのでしょうか。何もなされていないように思えます。

 大会や講習会の運営方法も見直されたわけでもなく、県外の山の登山のみ山岳ガイドなどの外部指導者がつくことになっています。とても部活動の在り方が変わったとは思えません。

 この事故に対する関係者への懲戒処分も今後の教訓となるものではありません。
 生徒教員8名も死亡する凄惨な事故を引き起こしたにもかかわらず、現場の責任者も、講師も、教員も、学校長も、高体連も、教育委員会も、教育長も誰も責任を取っていません。
 最大でも停職5か月の処分であり、これだけの事故を引き起こしても元の職場で元のように教師生活に戻ることができたという結果だけが後世に残ります。
 事実、講師として1班を引率した教諭は先日5か月の停職が明け、元の職場に復帰されたとのことです。

 このままでは「教員の身分は強固に守られており、規則を無視し、安全確認を怠って部活動で複数名が死亡する事故を引き起こしても、元の教員生活に復帰することができた」という結果だけがこの事故の教訓となってしまいます。

 今後の部活動の安全に緊張感を持たせるどころか緊張感を緩ませてしまう、このような結果だけは許容することはできません。

この事故の教訓

 この事故はベテランの顧問教諭が、自分たちの経験を過信し、冬山登山に関する通知や規則を無視することによって引き起こされた事故です。

 この切り口から顧問教諭らに対して得られた教訓は、以下の2点だと考えます。

1)いくら経験があっても山岳部顧問は所詮アマチュアであり、教師である顧問が部活動での登山活動を単独で引率することは困難

2)立派な通知やマニュアルをいくら作成しても、性善説に則って顧問教諭らがそれらを守ることを期待することはできない

 このような教訓があるにもかかわらず、県教委は顧問教諭らに相変わらず単独で登山活動を引率をさせようとしています。

 また、未だに誰も責任をとろうともせず、懲戒処分規定の見直しもなされていません。こんな緊張感のない状態でいくら立派な通知やマニュアルを作成しても無意味だと考えられます。

教訓の形

 顧問教諭の引率だけでの登山は困難であることを認め、教育関係者だけでなんとかしようとせず、山岳ガイドなど外部指導者の力を借りることが部活動の在り方を変える第一歩となると思います。

 また、当日引率した教諭と講習会開催を決定した責任者、長年危険な状態を放置し続けてきた教育委員会の長である教育長は、辞職することによって後世に教訓を残すべきと考えます。

 そして、安全確認を怠ることによって生徒を死に至らしめた教員は免職とするよう懲戒処分規定を見直し、今後の学校管理下での生徒の安全性確保に緊張感をもたせるべきです。

 事故の教訓をそのような形ある施策や結果に残していただき、この事故を契機に部活動での生徒の安全がしっかりと守られるようになったと後世で語られるよう、切に願います。


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