昨年は事故のために中止となった登山競技のインターハイ県予選会が昨日6月15日から17日までの3日間の日程で開催されているそうです。
事故を踏まえ、大会を主催する高体連登山専門部は安全確保策を抜本的に見直したとのことです。
その内容は、大会日程の見直し、会場の選定、緊急連絡体制など多岐に渡り、「登頂より安全」を体言化できたと思わせるもので、今まで見てきた中で初めて感心することができたものでした。
安全対策
大会開催に先立って登山専門部から一通の手紙が届きました。
大会実施に向けて取ってきた安全対策が列挙されていました。
下見を行う人員を増員、緊急時の車両搬送を考慮してコースを設定、大会本部に医師常駐など対策が色々と盛り込まれています。そのうちいくつかは当たり前のように思われる項目もあり、今までいかに安全を軽視していたのかが改めて浮き彫りになったような気がします。
変わろうとする思い
この手紙だけでは対策を列挙しただけであり、考えもなく筋も通らない対策を並べ立てただけと感じたかもしれません。色々と安全対策を講じたが、結果として今までと大きく変わることはなく、形式だけの面倒なチェックシートが増えただけということはよくある話です。
しかし、私はむしろこの手紙に書かれていない大会運営の姿勢について感心し、登山専門部の変わろうとする思いを感じました。
感心した点は以下の2点です。
2)競技性を追求しない
「冬山登山は実施しない」という原則のもと、開催時期を5月から6月に変更し、低山で大会を実施する方針だと春先に聞きました。安全を第一に考え、大会実施の都合を優先することなくしっかりと原則を守って開催時期と場所を見直したことは、当たり前のことではあるけれど賞賛すべきことであると思います。
また、新聞記事によると、登山行動のタイムを採点対象とせず、筆記審査の点数を基本に代表校を選ぶように採点基準を大きく変えたそうです。
目的は競技性を低くし、大会を通じて安全登山を学ぶためとしています。
検証委員会では触れられませんでしたが、大田原高校と真岡高校の山岳部のライバル関係が事故発生の要因の一つであったと考えられます。各校がライバル校に負けじと先に登りたいと思ったとしても不思議ではありません。競技性を第一に考える思いが安全性を置き去りにしてしまい、そういった間違った思いを大会を通じで子供たちに植え付けてしまっていたとしたら悲しいことです。
もともと登山活動というものは順位をつけるものではないはずです。その原点に立ち返り、競技性を追求しない方向に舵を切ることは良い方向に進んでいると思いますし、今までの大会のあり方を変えるものであると感じます。
生きていれば息子も参加していたかもしれない大会。無事に終了し、高校生の心の中に安全な登山への思いが刻まれることを祈ります。
今後
新聞によると登山専門部長から以下のようなコメントがあったそうです。
「本県では今後も、競技性を追求するような大会は行わない」
(下野新聞 6月14日朝刊)
この思いを信じたいです。
また、今年だけで終わらせることがないようにお願いしたいです。
この思いが数年で廃れるようなことがないように、実践し引き継いでいく仕組みをしっかりと構築してくれるよう願います。
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