遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

再発防止は事故の反省を出発点に 質問書の回答について思うこと

 7月5日に再発防止策の説明会が開催されました。その説明された内容について2度質問書を提出しています。11月12日に提出した2度目の質問書の回答が12月14日に届きました。

回答から感じること

 回答からは那須雪崩事故を早く忘れようとしている県教委や山岳関係者の気持ちが伝わってきます。できるだけ制限なく今まで通りの登山活動を再開しようと前のめりになっており、質問を重ねるごとに残念な気持ちが膨らんできます。

 事故発生の大きな要因として、顧問教諭らが規則を守らず講習を強行し、経験を過信して雪崩の危険の大きい斜面に入り込んでしまったことが挙げられます。これらは顧問教諭らの半端な知識と根拠のない自信によるものであったと考えられます。

 その反省に立つならば顧問教諭が無謀な行動を取らないよう行動を制限することが再発防止策の柱となるべきです。自分たちを過信し無謀な行動をとってしまう教員が一定数いることを前提に制度設計すべきです。

顧問教諭の行動を制限するためとるべき施策

 無謀な行動をとってしまう顧問教諭らの行動を制限するためには以下の1から4のいずれかの対応が必要であると考えています。

  1. 十分な講習と登山経験を積み、顧問教諭がプロの山岳ガイド並みの引率能力を得るよう求める
  2. 顧問教諭が安全確認を怠るなど生徒の生命を脅かす行為に対しては厳罰にするよう処分規定を改定し、生徒の安全に対して緊張感を持たせる
  3. 山行にはプロガイドなどの専門家が帯同し、顧問教諭が無謀な行動を取らないように監視する
  4. 山岳部の活動を大幅に縮小し、顧問教諭が危険なことをできないように行動を制限する

 1.についての対応で安全確保が困難であることは登山経験が十分な顧問教諭が事故を引き起こしていることからすでに証明されています。登山経験が5年以上あろうがなかろうが、教員だけでの登山の引率は無理であると真っ先に認めるべきです。

 2.の教員の処分規定については事故当時からなにも変化ありません。定年間近の校長がなにも責任をとらなくてもよい仕組みもなにも変わっていません。
 3.のプロガイドなどの帯同については、現在のガイドラインではアドバイザーの帯同はあくまで「推奨」であり、無謀な行動を咎める専門家が不在のまま登山が実施されてしまいます。
このような状況であるにも係わらず冬季の登山も実施されようとしており、4.についても十分な対応とは言い難い状況です。

 1.は無理であり、2から4のいずれに対しも十分な対応はなされておらず、今後の安全性が担保されたとはとても考えられません。

事故の反省を出発点に考えていただきたい

 先日のガイドライン、ハンドブック、そして再発防止策のどれも那須雪崩事故の反省を出発点にしているようには思えません。
事故前の登山を出発点として、場当たり的に制限を加えているだけにしか思えません。

 もっと根本的な改革をお願いしたいと思います。


コメント

  1. AAA より:

    プロの山岳ガイドに任せれば安心できるとお考えのようですが、あくまで素人教師よりはマシかもしれないという認識であるべきだと思います。
    日本ではガイド資格がなくてもプロガイドを名乗れますし、日本山岳ガイド協会における資格制度もまだまだ発展途上です。特に、部活動、学校登山などの集団行動におけるガイド理論は何も確立していません。参考になるのはツアー登山のガイディングかと思いますが、周知の通り、過去に様々な事故(事件)があり、今も綱渡り状態で運営されているのが現状です。

    • AAA より:

      補足
      プロの山岳ガイドが同行することを否定する意図はありません。
      ただ、「経験豊富な先生方がついてるから大丈夫だ」というのが、「プロとして活動している山岳ガイドがついてるから大丈夫だ」に置き換わっただけで、それはただの単語でしかありません。
      ガイドという職業を妄信することなく、部活動に適したガイドとはどんな存在かということを定義づけしなければならないと思います。おそらく、そんなことをまじめに考えたことのある学校組織はないと思うので、前途多難でしょう。
      ガイドの中にはそういうことを考えてる人もいるでしょうが、やはり個人の資質による差が出てきます。

      • 御GU 父 より:

        いつもコメントありがとうございます。

        山岳ガイドにもいろいろあり、妄信すべきではないとの忠告は他の方からもいただいております。その通りであることは理解しているつもりです。

        それでも重要だと思う点は、顧問教諭は資質に問題があったとしても事実上変更不可能であるのに対し山岳ガイドは問題があれば変更が可能である点だと思います。

        その上でコメントで仰っていただいた通り「部活動に適したガイドとはどんな存在でどういった要件が必要であるか」と議論する必要があります。

        難しい議論となりますがその議論は「アマチュアである教員が登山を安全に引率するためにはどんな登山経験や講習を積む必要があるか」といった教職という本業からかけ離れた不毛な議論よりはずっとまともで建設的な議論ができると考えています。

        ガイドに問題があった場合、そのガイドには今後依頼しないなど取り除く仕組みを作ればよい方向に収れんするのではないかと期待しています。

        なお、未だ議論できるような精神状態ではないので、意見表明のみとさせていただきます。WEB上にコメント欄まで作っておいて言う言葉ではないのですが、申し訳ありません。

タイトルとURLをコピーしました