山岳部の登山の引率は顧問教員でないとダメなのでしょうか?山岳ガイドなど十分な知識と経験をもったプロを頼ることは考えないのでしょうか?
那須雪崩事故の発生を受けて策定された再発防止策は、相変わらず顧問教員が引率することを前提としており、山岳ガイドなどの登山アドバイザーの帯同は県外の限られた山への登山のみとなっています。本職が教員である山岳部の顧問教員に登山に関する高度な安全管理を求め、守るつもりもない規則をたくさん定めることによって安全性を確保しようとしています。
また、那須雪崩事故の責任者や引率していた顧問教員が業務上過失致死傷の疑いで書類送検され、罪に問われようとしています。まともな神経を持たれた方であれば、十分な制度設計もないまま重い責任を負わされる山岳部顧問になりたいとは思うわけはなく、山岳部顧問を引き受ける教員は今後減少し、いなくなってしまうことが予想されます。
顧問の引き受け手もいなくなった高校山岳部はこのままでは衰退していくことになるのではないでしょうか。
そういった未来が予想されるにもかかわらず、栃木県はもとより他県においても「山岳部は顧問教員が引率すべき」との風潮が相変わらず蔓延しているように思えます。なぜ山岳ガイドなど十分な知識と経験をもったプロに頼ることを考えないのでしょう。
つたない知識しかもたない顧問教員が登山を引率することは、生徒にとっても、重い責任を背負わされる顧問教員にとっても不幸な事態であると思います。
登山活動自体に反対ではない
雪山への登山や雪上での活動の是非についてこのホームページ上でいろいろと述べさせていただいています。冬山登山再開に断固反対とか言っていますが、私は登山活動実施それ自体についてそれほど強く反対しているわけではありません。
登山や雪崩の危険性について十分な知識と経験をもったプロガイドに引率され、登山の安全にまつわる規則が整備され、その規則が守られて安全確認がしっかりとなされた状態であるならば反対する理由はありません。
私が断固反対するのは、「教員が引率する登山」です。教員が引率するのであれば、低山への夏山登山であっても実施は反対です。
教員の引率に反対する理由
「教員が引率する登山」に私が反対する理由は2つあります。
1つは教員が本職である顧問教員が、登山引率に必要な知識と経験を持つことは困難であると考えるからです。
もう1つは、登山の安全にまつわる規則をいくら整備したとしても、顧問教員にその規則を守るつもりがないと思われるからです。
那須雪崩事故は、登山経験30年にも及ぶ登山経験豊富なベテランの顧問教員が、規則も守らず基本的な安全確認を怠って訓練実施を決定し、雪崩発生の危険性の高い斜面に足を踏み入れて引き起こされた事故です。この事実から教員が本職である顧問がいくら経験を積んでもしっかりとした登山の専門知識と経験を身に着けることは困難であり、罰則もない現状ではいくら立派な規則をつくっても規則を守らないことは明らかだと思われます。
十分な知識と経験をもったプロガイドに引率されるのであれば雪山登山であっても反対する理由はありません。しかし、知識も経験も十分ではなく、規則も守ろうとしない教員が引率する登山は反対です。
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