遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

登山の引率は教員でないとダメなのでしょうか?

顧問教員の本業は教員のはずでは

仮に、那須雪崩事故が民間の登山ツアーで発生したものであれば引率者の技量を上げようとする話は理解することができます。ツアーを引率した登山ガイドの力量はどうであったのか検証し、今後事故を防止するためには登山ガイドには高い志と力量が必要であるとして、プロガイドの力量を上げるための数々の対策が打たれるべきでしょう。登山ガイドは登山を安全に引率することが本業なのですから。

しかし、今回の事故はそうではありません。那須雪崩事故は本業が教員であるはずの顧問教員が自身の力量を過信して発生させた事故です。本業ではない登山の引率は「できない」ものとしてあきらめ、外部の力に頼ることを対策の本筋とすべきはずです。しかし、再発防止策では教員が本業である顧問教員に登山に関する高度な安全管理を求め、守るつもりもない規則をたくさん定めることによって安全性を確保しようとしています。

こんな再発防止策、おかしくないでしょうか?

最近は教員の多忙さが問題視されています。多忙さが解消されるよう制度設計がなされるよう私も祈っています。しかし、教員が本業ではない部活動で得られた権益を手放そうとせず、引率に不安を抱えている教員にまで引率を強要するようであるならば同情することはできません。そのような状態で多忙だと言われても自業自得としか思えません。
そう言われたくないのであれば教員の中からこんな状態はおかしいと声を上げていただき、部活動の在り方そのものを変えていただきたいと願います。

今後の山岳部の行く末

那須雪崩事故の責任者や引率していた顧問教員が業務上過失致死傷の疑いで書類送検され、罪に問われようとしています。現状、このような罪に問われるリスクを負いながら全国の山岳部顧問の教員の皆さんは登山を引率されているのでしょう。見上げた勇気です。その無謀な勇気に生徒や他の教員が巻き込まれ、身体・生命が危険に晒されることがないよう願っています。

普通の感覚を持つ方であれば、このような罪に問われるリスクを負いながら山岳部顧問を引き受けることはもはやできないでしょう。今後山岳部顧問を引き受けることができるのは無謀な勇気を持った方だけとなるでしょう。そのため、山岳部顧問を引き受ける教員は今後減少し、いなくなってしまうことが予想されます。

顧問の引き受け手もいなくなった高校山岳部はこのままでは衰退していくことになるのではないでしょうか。そのような未来にならないためにも、こだわりを捨て、外部の力を借りて安全性を高めることが必要であると思います。


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