遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

早くも登山計画審査会は形骸化しているのではないでしょうか


県立高校登山部などの登山計画を事前審査する登山計画審査会が4月19日、県庁で開かれました。那須雪崩事故を受け、県教委が登山計画ガイドラインを策定してから初めての審査会でした。

今年4月下旬から6月中旬までの登山計画4件が審査され、3件は指摘事項がなかったが、1件は荒天対策などが不十分だったため再提出を求めたとのことです。

一方、ガイドラインでは標高が低く、著しい危険個所がないなどして県教委が指定した登山ルートは審査課のチェックを省略できると規定しています。この日は審査会に代わって県教委が審査した17件の計画が報告されたとのことです。また、そのうち登山実施済みの5件で事故はなかったとのことでした。

また、それらの4件の審査の内容や報告のみの17件の計画の内容は非公開となっており、その内容が適正であるかどうかを一般人が把握することはできません。

登山計画 21件中、4件のみの審査対象はおかしくないでしょうか

審査した登山計画は4件で、審査なしで報告のみとなった登山計画が17件というのは正常な状態なのでしょうか。あまりに審査なしの登山計画が多くはないでしょうか。
さらに5件は登山計画審査会への報告がなされる前に登山が実施済みで、「事故はなかった」という結果が報告されただけです。おかしくないでしょうか。

「講習会であり登山ではない」という理屈のもとで登山計画の審査を免れた結果、那須雪崩事故は発生いたしました。この反省に基づいたならば、登山計画は例外なく審査されるべきです。
それでも登山ではなくハイキングのような危険性が著しく低い場所の野外活動であれば審査するまでもないであろうという理由で審査を省略できるということであったはずです。

審査が省略された17件の計画はどのようなものだったのでしょうか。本当に登山とは言えないほどの安全な野外活動だったのでしょうか。

「山岳部」と名の付く県下の高校山岳部の活動が、そのような野外活動ばかりだとはとても思えません。県が定めた「登山計画審査会の審査を省略することができる山行ルートについて」の基準がおかしいのか、県下の高校山岳部が登山計画審査会の審査を敬遠して登山活動を大幅に自粛したかのどちらかでしかありません。

既に形骸化していないでしょうか

今回の登山計画審査会は県教委が2018年12月17日付で「登山計画作成のためのガイドライン」を策定して初めての登山計画審査会であったそうです。

しかし、ガイドライン策定後第1回目の審査会から審査は形骸化してしまい、実効性のないものとなってしまったように感じます。申請21件中4件、申請の2割弱しか審査しない審査会に実効性があるのでしょうか。

繰り返し何度でも言いますが、「講習会であり登山ではない」という理屈のもとで登山計画の審査を免れた結果、那須雪崩事故は発生いたしました。この反省に基づいたならば、登山計画は例外なく審査されるべきです。

登山の難易度の低い山の登山計画まで審査するなんてやりすぎで、申請の手間も審査の労力も大変という意見もあるでしょう。
しかし、那須雪崩事故は適切な場所やルートを選択すれば安全であったはずのスキー場周辺の山域の中で、わざわざ地元の人も近づかないような危険なルートを選択し、登山活動を中止すべきであった荒天の中雪上訓練を実施して事故に至ったのです。

事故の反省に立ったならば、21件中4件しか審査しないような基準はおかしいと気づくはずです。「登山計画作成のためのガイドライン」は那須雪崩事故の反省を起点としたものではなく、事故によって登山部の活動を制限されないような規則や制度が巧妙に仕組まれたものであると感じます。

登山計画審査会の成り立ちからおかしくないでしょうか

登山計画作成のためのガイドライン」やその中にある「登山計画審査会の審査を省略することができる山行ルートについて」はこの登山計画審査会のメンバーによって定められました。

登山計画審査会の委員の構成は、ガイドラインの中に記載があります。たびたび申しておりますが、私はこの登山計画審査会の構成がおかしいと感じています。

委員長は栃木県山岳連盟の会長という肩書ではありますが、元教員で、県立高校の登山部の顧問を務め、那須雪崩事故を起こした登山専門部の専門委員長を務めた教育関係者です。また、副委員長の経歴は存じませんが、過去に登山専門部が実施していた顧問教諭らによる海外登山に同行していた方で、登山専門部との関係も深いと考えられます。

また、事故を引き起こした組織である高体連登山専門部から3名もメンバーに加わっている点も信じられません。そのうち一名は他県の専門委員長をわざわざ加えたもので、これによって審査会の機能強化が図られたとまで言っています。栃木県の専門委員長が事故を引き起こし、この役職の教員には大した知識もないことは周知の事実であるはずなのに、なぜこのようなことが言えるのでしょうか。そこにさらに教育委員会からスポーツ振興課課長もメンバーに参画しています。

このような身内で固められた登山計画審査会で審査の基準が策定され、登山計画の審査も実施されています。そもそもの成り立ちからおかしくないでしょうか。完全に身内だらけの組織であり、このような組織で再発防止策を議論できると考えていること自体、事故の反省がないように感じます。

このように委員の構成からおかしいと感じていたところに今回の21件中4件しか審査しない審査会が開催されました。事故の反省はどこにあるのでしょうか。

事故発生から2年で、もう事故は過去のものとされ、再発防止策は形骸化してしまっているのではないでしょうか。

Print Friendly, PDF & Email

コメント

タイトルとURLをコピーしました