遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

熱中症で生徒が死んでも驚きません

那須雪崩事故に対する再発防止策とともに、部活動における熱中症の対策について何度も栃木県教育委員会に質問し、意見してきました。現状の熱中症対策は十分なものとは思えません。

熱中症対策に関する通知やガイドラインが文科省やスポーツ庁、県の教育委員会から山のように出されています。また、栃木県高体連からも危機管理マニュアルが発行され、その中で熱中症対策について述べられています。

しかし、どれも「注意喚起を行う」や「競技会等の中断や水分補給を行わせるなど、熱中症予防に努める」との記述があるだけで、WBGTがいくつ以上の場合は大会や部活動を中止すべきだとか中断すべきといった判断基準はなにも記載されていません。

注意喚起し、水分を十分とるように呼びかけさえすれば、現状では気温が40度に達したとしても大会を開催したり、部活動を実施することができます。いつ熱中症によって生徒が倒れ、命を落としてもおかしくない状況です。さらに、熱中症による救急搬送者や死者が出たとしても大会や部活動を実施した教員には責任が及ばないようになっています。

明確な中止の判断基準を示すと、大会や部活動の運営に支障が出てしまうため、そのような記述になっているものと思われます。大会や部活動の運営を第一とし、生徒の命を危険に晒し、判断の責任は現場の教員に負わせている構図となっています。しかし、責任を負うはずの現場の教員も、注意喚起さえ行っていれば熱中症による救急搬送者や死者が出たとしても責任を負うことはありません。

教員はリスクを負うことなく、一方的に生徒がリスクを負い、生命が危険に晒されています。
生徒の命や安全をなんだと思っているのかと問いただしたい思いを抱きます。

死者が出ても驚くに値しない

そのような状況ですので、栃木県下の学校の部活動において、今後熱中症による死者が発生したとしても驚くには値しません。死者が出なかったとしてもそれは運がよかっただけで、ロシアンルーレットの銃に弾は込められている状態です。それはまさに那須雪崩事故が発生する前の登山専門部のような状態であると感じます。

そうは言っても実際の部活動の現場では熱中症対策がなされていて、「熱中症で死者が発生したとしても驚くに値しない」とは言いすぎだと言われる方もいらっしゃると思います。私も那須雪崩事故が発生するまではそのように思っていましたし、事故発生後も問題は登山専門部だけのものであり、他の部活動においては生徒の命はしっかりと守られていると信じていました。

しかし、その思いを踏みにじるような実態を目の当たりにし、部活動という活動においては生徒の命が軽視され続け、今後も事故は発生し続けると思うに至りました。


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