遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

熱中症で生徒が死んでも驚きません

ある部活動の話

那須雪崩事故で死んだ息子には弟がいます。詳しくは述べませんが、その弟は体育館で行う競技の部活動に所属していました。

この部活動では週末に毎週のように数十kmも離れた体育館や他校に遠征に行き、練習試合や大会に参加していました。なぜだか学校の近郊ではなく、県内でも遠方の地に行くことが多く、県外に遠征にいくことも珍しくはありませんでした。また、定期試験前でも構わず遠征を実施することも多くありました。

遠征地に生徒を送迎するバスのようなものはなく、保護者が当番を決めて送迎をしていました。しかし、遠征は遠方であることことが多く、心配であったため、行きは当番の保護者に送ってもらい、帰りは遠方であっても迎えにいくことが習慣となっていました。

誰も止めようとしない

那須雪崩事故から数か月経ったある夏の日の朝、遠方の地で6つの学校が集まって合同で練習試合を行うとのことで息子を送り出しました。その日は、35℃近くまで気温が上昇する予報が出ていましたが、私も何も想像力を働かせることなく無防備に息子を送り出してしまいました。

夕方近くになり、息子を迎えに遠方の体育館に行き、その場に着いてみて驚きました。
暑い日でありましたが、体育館の中はさらに暑く、誇張抜きで40℃を超える温度であったように思えました。夕方であってもこのような温度なので、昼間はどうだったのだろうか、こんな中で一日中練習試合を行っていたのかと絶句してしまいました。

聞くと、その日は息子の学校だけで試合中に4名もの生徒が熱中症で倒れたそうです。倒れた生徒はその場に居合わせた保護者が体育館の外に連れ出し、冷房を目いっぱい効かせた車に乗せ、体を冷やし、水分を補給して事なきを得ていました。4名とも症状としては軽く、大事には至りませんでした。

しかし、熱中症で倒れた生徒らは、水分補給をして症状が軽くなった後再びコートに立ち、練習試合は中止されることもなく続行されたそうです。全くもって信じられない話でした。

他に5校もの学校が集まっていたので、他校の生徒はどうだったのかと尋ねても状況は把握されておらず、合同と言ってもそれぞれの学校が勝手にやっているだけの状態のようでした。6校もの学校が集まっているにも関わらず、「こんな気温で熱中症で倒れた生徒も出たので、練習試合を中止にしよう」と言い出す人は誰もいなかったようです。

いくつもの学校が集まり、責任の所在があいまいとなり、危険な気象状態であっても誰も中止にしようと言い出さない状況は、那須雪崩事故を引き起こした春山安全登山講習会となんら変わるところがありません。

那須雪崩事故が発生した後でも、部活動を率いている顧問教員の意識は変わることがなく、生徒の命や安全を軽視していることを見せつけられた事態でした。

その日の気温

その日の練習試合を実施した体育館の近郊の気温の記録です。
最高気温が34℃に達するような一日でした。湿度の記録がないので、WBGTとしてどのくらいなのかわかりませんが、体育館の中はさらに過酷な状況であり、運動は中止すべき気象条件であったことは明白です。

こんな状況で一日中部活動を実施し、熱中症で生徒が倒れる事態となっても顧問教員に対するお咎めはなにもありません。部活動を中止すべき基準がないので、注意喚起さえしていればよいのです。


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