遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

栃木県の高校登山部の現状

令和元年の学校別部員数と顧問数

令和元年現在の栃木県立高校における学校別の登山部員数と顧問数を表したグラフです。

数値の出典 : 高校生の登山のあり方等に関する検討委員会(2019.10.25開催) 資料3-2「山岳部の学校別部員数一覧」

このグラフから、現状登山部が存続している12校を部員数が15名以上の主要8校と、部員数の少ない4校の2つのグループに分けることができます。さらに那須雪崩事故前後に休部・廃部となった5校を加えて3つのグループになります。

  • 部員数の多い主要8校
    (栃木女子、栃木、真岡女子、宇都宮、矢板東、真岡、宇都宮女子、大田原)
  • 部員数の少ない4校
    (宇都宮中央女子、宇都宮白楊、今市工業、石橋)
  • 休部・廃部となった5校
    (日光名峰、那須清峰、宇都宮工業、足利工業、足利)

部員数の多い学校の中には部員数が30人以上の学校もあり、部活動の登山といっても学校行事と変わらないような規模となっています。
また、栃木県が示した基準だと登山部生徒10人に対して引率者を最低限1名以上配置しなければいけませんが、矢板東高校のように顧問教員だけでは規定人数を満たせていない学校があったり、顧問が一人でも欠けると規定人数を満たせない学校も見られます。

主要8校の部員数の推移

主要8校の登山部部員数の推移

登山部員数が15名以上の主要8校の部員数の推移を学校別で表したグラフです。

数値の出典 : 高校生の登山のあり方等に関する検討委員会(2019.10.25開催) 資料3-2「山岳部の学校別部員数一覧」

8名もの死者を出した大田原高校は那須雪崩事故後に大きく部員数を減少させています。
しかし、他の高校では部員数は事故前と同等、もしくは増加しているように見えます。

主要8校の登山部部員数増減の推移

さらに事故前の平成28年の部員数を基準として、主要8校の部員数の増減を学校別で表したグラフを以下に示します。

数値の出典 : 高校生の登山のあり方等に関する検討委員会(2019.10.25開催) 資料3-2「山岳部の学校別部員数一覧」

このグラフを見ると大田原高校以外の高校では那須雪崩事故の影響は見られず、那須雪崩事故直後の平成29年でも部員の増減はほとんどありません。そしてその後の部員数は事故前と同等か、多くの高校でむしろ増加していることが確認できます。

しかし、前述した通り栃木県全体でみると事故後は部員数が落ち込み、その後はほとんど変動がなく、事故後の部員数の減少は回復していません。これは、廃部・休部によって部員がいなくなった学校や部員数を減少させた学校の部員数の減少が、これら主要校の部員数の増加によって打ち消されたためと考えられます。

栃木県全体で見ると、登山部を設置している学校の数は減少しており、部員数の増減を見ても那須雪崩事故後には部員数が減少しており、まだその影響から抜けていないように見えました。しかし、これら主要校に限ってみると、学校あたりの部員数は増加している学校が多く、今後も部員数が増加するであろうとの傾向が見て取れました。昨今の登山ブームの影響なのでしょうか。

1校当たりの部員数が多くなる寡占の状態に近づいており、該当の学校では教員の負担増加と安全性の低下が懸念されます。


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