遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

栃木県の高校登山部の現状

顧問教師の顧問歴

令和元年現在の登山部顧問歴

令和元年現在の栃木県立高校登山部顧問の顧問経験年数を示したグラフです。
顧問経験年数を5年ごとに区切り、ヒストグラムで分布を表しています。線グラフは各経験年数の累計を示しています。

栃木県立高校の登山部顧問教員全体で36名とのことです。

数値の出典 : 高校生の登山のあり方等に関する検討委員会(2019.10.25開催)
         資料3-2「令和元(2019)年度 高等学校の登山部顧問人数等一覧」

驚くことに新任の顧問教員が13人で顧問教員全体の35%にもなります。さらに新任を含めた顧問経験年数0-4年の顧問教員を総計すると21人で全体の57%に当たります。

栃木県教育委員会が示した教員のみで登山引率可能とした条件は「顧問経験5年以上」となっています。その基準を満たさない顧問教員が全体の過半数を占め、さらに全体の3分の1超が新任顧問教員です。

その新任顧問教員には50代の教員も含まれているとのことで、顧問のなり手がいない中かなりの無理をしているように思えます。そして数年に一度の配置転換のある教育現場では、顧問教員として慣れたころに登山部のない学校に配置転換となることが多くあります。登山部のある学校は全体の2割しかないため、その傾向は顕著だと思われます。そのため、登山部に新任顧問を次々に配属し続けるこの状況は今後も変わらないように思えます。

学校別 顧問歴5年以上の顧問教員数

各学校に配置されている登山部顧問経験5年以上の顧問教員の数を示したグラフです。

数値の出典 : 高校生の登山のあり方等に関する検討委員会(2019.10.25開催)
         資料3-2「令和元(2019)年度 高等学校の登山部顧問人数等一覧」
今市工業に顧問歴6年の教員が配置されているが、引率した主な山行が「なし」となっていたため、集計から省いた

栃木県教育委員会が示した教員のみでの登山の引率を可能とする条件「顧問経験5年以上」を満たした教員の数がそもそも少なく、また偏りが大きいため、登山部のある各学校への配置もままならない状況です。また、先ほどと同様に数年に一度の配置転換のある教育現場では定常的に登山部のある各学校に経験のある教員を配置することは難しく、この状況は今後も変わらないのではないと思われます。

そして、忘れてはならない重要なことですが、栃木県教育委員会が示した教員のみでの引率可能とした条件「顧問経験5年以上」にはなんの根拠もなく、そもそもこの条件を満たしただけでは安全性は何も担保されません。


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