遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

Nasu3D 那須雪崩事故現場確認ソフト

ソフト制作についての思い

足を踏み入れることすらできない場所

2017年3月27日、那須雪崩事故は発生しました。

事故の現場はスキー場から外れた国有林の中にある斜面でした。本来許可なく立ち入ることができないはずの国有林の斜面に無許可で入り込み、雪中歩行訓練を実施した結果発生した事故でした。

そして事故から4年の歳月が経とうとしていますが、私たち遺族は息子たちが雪崩に遭遇した斜面、雪崩に流され雪に埋没した地点に足を踏み入れることができていません。

あの斜面は国有林の中にある斜面ですので、遺族であっても事故現場に立ち入るためには国の立ち入りの許可が必要となります。そして立ち入りの許可を得られたとしても雪崩の発生しやすい傾斜のついた斜面であり、積雪のある冬季や春先は雪崩発生の危険性が高いため迂闊に近づくことができません。また、夏季から初冬においては藪がうっそうと茂って行く手を遮っており近づくことができません。

そのような状況ですので、今後も事故現場に足を踏み入れることは難しく、息子が命を落とした場所をこの目で見る望みは叶いそうにありません。

なぜ遺族が足を踏み入れることすら叶わないような斜面にわざわざ足を踏み入れ、危険な訓練を躊躇なく行ってしまったのでしょうか。このような講習会を実施し、危険な斜面にまで息子たちを引率した教員らに憤りを感じます。

疑問を共有できたらという願い

事故現場には足を踏み入れることはできておりませんが現場付近までは何度も足を運び、事故現場の斜面を眺めました。山のふもとから事故現場付近を眺めると、巨大なスケール感に圧倒され、心が締め付けられるような恐怖を感じます。そして「なぜこのような斜面を登ることを躊躇なく判断することができたのだろうか」と疑問と怒りを抱くこととなります。新聞の写真やTVの映像からはこの圧倒されるスケール感を感じ取ることができません。現地に行かなくても少しでもこのスケール感と恐怖を感じ取れるようにと、このソフトにはそのような願いも込められています。

なぜ30cm以上の降雪のあったあの日に雪中歩行訓練を強行したのか、なぜあのような危険な場所に足を踏み入れるような判断をしたのか、このソフトによって皆さんとこれらの疑問を共有できることを願っています。

息子が最期に見た景色を知りたい

また、事故原因の調査や各種報道などによって事故当日の足取りや雪崩の遭遇地点や埋没地点など事故のあらましが述べられています。しかし、各々異なったことが述べられていたり、詳細が省かれていたりして不明な点が多く残ります。そして季節や積雪状態によって山の姿も大きく変わり、調査や報道で示された写真や地点がどのあたりを指しているのかさえわからないことがあります。

そのような状況ですので事故から4年が経とうとしている現在でも事故当日がどのような状況であったのか詳細を理解することはできていません。私は事故が起きた時どのような状況であったのか、命を落とした息子が最期にどのような景色を見たのか知りたいと願っています。


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