遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

とちぎモデル とは?

登山の安全性を教員の技量に頼らない制度を

「とちぎモデル」では、登山の安全性をできるだけ顧問教員に頼らない制度を提案しています。なぜそのような提案となっているのか、以下でその思いを述べさせていただきます。

70年前の雪崩事故

那須雪崩事故が発生した「春山安全登山講習会」は、元はと言えば雪崩で5人の犠牲者を出した1950年12月に発生した栃木県立佐野高校の雪崩事故の対策として始まった講習会をルーツとしています。安全のために始まったはずの講習会でこのような大事故を引き起こしてしまうなんてとんだブラックジョークのように思えます。

そして、この事故とこの事故の対策が栃木県高校体育連盟登山専門部を発足させるキッカケとなりました。当時のことはわかりませんが、事故防止のため引率する教員の知識と経験を高める必要があると考え、教員の資質向上に努めることを対策としたように思えます。

山岳部顧問教員らの集まりである登山専門部が発足し、その後教員の資質向上を図るためと称して顧問教員らで登山隊を編成して海外登山に出掛けるようになりました。安全対策のために発足したはずの登山専門部でしたが、顧問教員らが自分たちが登山を楽しむための受け皿として登山専門部を私物化してしまったように見受けられます。

このような経緯が那須雪崩事故のような大事故を引き起こした要因であると私は考えます。

生徒の安全を考える前に自分たち教員が登山を楽しむことを優先させてしまい、その結果無謀な行動が常態化し、このような大事故が起こってしまったと考えます。そのキッカケが佐野高校の雪崩事故であり、この事故に対するいい加減な対策がなければ那須雪崩事故は発生しなかったのではないかと思います。

場当たり的な対策では事故を防げない

そんな考えから私は佐野高校の雪崩事故の対策を策定した当時の関係者を恨んでいます。
教員という一介のアマチュアの知識や経験に頼るのではなく、当時からしっかりとした専門家を入れた安全対策であったならどんなによかったことでしょうか。

そして那須雪崩事故を受けて栃木県教育委員会が打ち出した再発防止策も顧問教員の資質向上によって事故を防ごうとするものです。これでは佐野高校の雪崩事故のいい加減な対策を繰り返そうとしているようにしか思えません。

このようないい加減で場当たり的な対策では事故を防ぐことができないことは那須雪崩事故が証明しています。

数年後か数十年後かはわかりませんが、再度大事故が起きる未来が想像できます。その時に、「当時の関係者は何をやっていたんだ」と恨まれることのないよう、根本的に制度を変える施策を私は望んでいます。それが「とちぎモデル」へ込めた思いです。

この思いが現実となるように今後も主張を続けていきたいと思います。


コメント

  1. 大江隆夫 より:

    「とちぎモデル」に賛意を表するものですが、外部の登山専門家(資格を持ったガイドなど)からアドバイスを受けたり、あるいは実際の登山に同行するような場合、彼らに支払う費用の負担についてはどのように考えられますか。
    費用負担の方法が「とちぎモデル」の鍵になると思います。無償のボランティアでは継続は難しいと思います。

    • 御GU 父 より:

      費用については議論すべき課題です。
      登山に同行する外部人材は当然無償のボランティアではなく、相応の料金を支払うべきです。

      個人的考えを述べさせていただくと、私はその費用は保護者が支払うべきだと考えています。
      参加人数で頭割りして支払えばそれほどの額にはならないのではないかと思いますし、登山の頻度もそれほど多くはないはずなので、負担する額が他の部活動と比較して突出することにはならないはずです。

      また、県教委とこの点について議論したことがあります。
      彼らの考えでは登山に同行する登山アドバイザーは教員がすべき仕事を補助しているのだから県教委が出すべきだとの意見でした。実際、現在栃木県の高校山岳部で運用されている登山アドバイザーへの謝金は県教委から支払われています。

      県や県教委はこれだけの事故を起こしてなお学校での登山活動を継続するという決断を下したのですから、県教委が金銭的にも責任をもって支払うという選択もありかとも思います。ただし、同行する登山アドバイザーの資格や要件を決定する権限を持っているのも県教委なので、予算を出し渋るがために登山アドバイザーの同行を認めなかったり、料金の安い資格をもたないいい加減な登山者をあてがったりする懸念があります。この場合はそうならないためのルール作りと監視が必要です。

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