遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

いつまで待てばよいのでしょうか

那須雪崩事故を引き起こした栃木県高校体育連盟登山専門部は、事故から2年以上経った現在でも、未だに独自の総括と対策を打ち出していません。一体いつになったら事故を総括し、自ら事故の対策に乗り出すのでしょうか。

総括も対策もないまま、それでも登山活動は実施され、インターハイ予選などの登山専門部主催の大会も実施されています。

一体どのような顔をして生徒を引率し、大会を実施しているのでしょうか?

登山専門部の総括

「当事者である登山専門部の総括がないまま、再発防止策など語れないのではないか」という遺族からの当たり前の意見を受け、栃木県登山専門部が独自の総括を作る動きがありました。

しかし、事故から1年が経とうという2018年3月に一度提示された彼らの総括の草稿は、自分たちの意思もなく、検証委員会の報告書をなぞっただけのもので、登山専門部の総括と言うにはあまりにお粗末なものでした。その場で全面的な作り直しを約束してもらいました。

全面的に作り直した総括は、約束では2018年の10月に完成する予定でした。総括のないまま10月までの活動はどうするのだろうとの疑問はありましたが、それまで待つこととなりました。
しかし、完成が2018年の年末になりそうだとの連絡があり、年末にはさらに延期するとの連絡がありました。

そして年末に連絡があってから半年以上の月日が経ちましたが、もう遅延の連絡すらありません。もはやどうしようとしているのかすらわからない状況になっています。

このままほとぼりが冷めるまでダンマリを決め込み、なかったものとしてしまおうとしているのかもしれません。

どの面下げて生徒を引率し、大会を主催しているのか?

約束では、2018年の10月にはこの総括は完成しているはずでした。一体いつになったらできるのでしょうか。もう完成させるつもりはないのでしょうか。

そして、事故の総括も反省もないまま、登山活動が実施され、登山専門部が主催するインターハイ予選などの大会が催されています。

現在でも登山専門部の役員の大半は、那須雪崩事故発生当時からの役員であり、事故当日に現場にいた顧問教員がほとんどです。
事故の総括もないまま一体どの面下げて生徒を引率し、大会を主催しているのでしょうか?
理解に苦しみます。

登山の大会は登山の安全を学ぶためのものであり、天気図の読み方なども競技に含まれ、審査されるとのことです。事故当日、数日前に見た天気予報だけを頼りにして当日の天候を確認しなかった顧問教員らが、天気図の読み方を生徒に指導し、採点までしているなんて何の冗談なのかと思ってしまいます。

そんな顧問教員らが作成し、一年以上前の2018年3月に見せてもらった総括の草稿は、全く意思のない、検証委員会の報告書をなぞっただけのお粗末な総括でした。事故を引き起こした張本人である3人の教員の声も取り入れ、登山専門部としての総括としなければ意味がないと意見したところ、10月までに作り直すと言われ、そのまま一年以上の月日が過ぎてしまいました。

自分たちで事故を総括しないまま、なぜ登山活動を実施し、大会を主催することができるのでしょうか。自分たちの中で矛盾を感じないのでしょうか。
このような状況で生徒を引率し、インターハイ予選などの大会で生徒の登山活動を採点までしているなんて、どのように自分たちの気持ちに折り合いをつけているのか不思議でなりません。

登山専門部が自分たちの事故総括を作成し、事故を反省しない限り、登山専門部やそこに所属する顧問教員はなにも活動はできないはずです。
総括がないまま登山活動や大会を実施している彼らのその行動からは事故の反省を感じることができません。

当事者である教員も反省がない

2019年3月に、那須雪崩事故で引率していた男性教諭3人に対して業務上過失致死傷容疑で書類送検がなされました。

この教員らにはすでに停職処分が下っていますが、停職が明けて教職に復帰しています。そして書類送検された後も、教職を続けています。なぜ自ら辞職しないのか、遺族は不満を抱いています。

書類送検された後の今年の3月に、書類送検された教員の一人に対してある遺族が「なぜ、教員の職を自ら辞職されないのですか」と尋ねました。
その問いに「辞職すると、今までの自分を否定することになってしまうから」とその教員は答えたそうです。

この問答を聞いて驚きで言葉がありませんでした。「この人は、この期に及んでまだ自分を肯定している」のだと。事故を反省するための過程は、まず今までの自分を否定することがスタートだと思っていました。しかし、この教員はまだスタートにすら立っていないようでした。

栃木県教育委員会も同様に反省がない

また、反省がないという点では栃木県教育委員会も同様です。

栃木県教育委員会は、2019年3月の県主催の追悼式で、自分たちではなく現役の山岳部生徒に安全を誓わせるという愚かな行ないを犯しています。言うまでもないことですが、安全を誓うべきは顧問教諭らと栃木県高体連登山専門部、そして栃木県教育委員会です。
決して生徒が誓うべきことではありません。

なぜそのようなことをしたのでしょうか?なぜ誰も止めなかったのでしょうか?

生徒に安全を誓わせるという行動と、その行動をおかしいと感じて止める人が栃木県教育委員会の中に誰もいないという事実が、栃木県教育委員会も事故の反省のスタートにも立っていないことの表れだと感じます。

自分たちを一度否定していただきたい

事故を引き起こした当事者であるはずの教員も、登山専門部も、県教委も事故の反省を形あるものとして示すことは今までありませんでした。むしろ事故の反省はないことを言葉や態度で示され、事故前となにも変わっていないことを私たち遺族は何度となく突き付けられてします。そのたびに失意の底におとされています。

きっとこのまま、彼らは事故を風化させ、ほとぼりが冷めるまで待つつもりなのでしょう。

登山専門部の総括については、もはや作られるかどうかすらわかりません。このような状況ですので、もう内容に期待することもできないと思っています。それでも、もし内容に注文をつけるのならば、事故を起こした講習会だけではなく、登山専門部の今までの活動そのものを反省し、見直すべきだと思います。

本業である教員の仕事を1~2か月休み、生徒を放ってまで海外登山にでかけ、自分たちの夢を叶えるために部活動を利用し、「エベレストを登れるほどの技量がある」と自分たちの能力を過信していたことが事故発生の大きな要因であったと考えられます。

今後は自分たちの能力を過信することなく、「登山の引率は私たち教員には荷が重く、無理だ」と宣言していただきたいと願います。その上で、専門家の力を積極的に借りて安全に登山を実施する体制を構築し、自分たちは本業である教員の仕事に注力していただくよう希望いたします。

一度しっかりと今までの自分たちを否定していただかなければ、いつまでも同じことの繰り返しで、再び惨事は繰り返されることでしょう。

しかし、彼らには自分たちを否定することなんてできないことでしょう。無駄にプライドだけは高いですから。そして、今後登山に関する勉強を怠らず、講習もいっぱい受けて事故を引き起こさないように頑張りますとか言ってしまうのでしょう。

できもしないくせに。

 

 


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