遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

標高1,500メートル

登山計画審査会の基準

「標高1,500メートル以上の山への登山」、これは栃木県教育委員会が決めた登山計画審査会で審査する登山活動の基準です。登山計画審査会での登山計画の審査は、今回の事故対策の大きな柱となっています。しかし、標高1,500メートル以下の登山活動は危険が小さいとされ、審査することなく登山することができるようになっています。この基準は平成7年の教育長通知を根拠として定められ、設定根拠もあいまいなまま現在も使用されています。

事故後の対策で栃木県下の高校山岳部で実施する登山活動は講習会も含め登山計画審査会で審査することになっていますが、1,500メートル以下の登山活動は審査が免除となっています。これは現在も変わりません。

しかし、8名の命が失われた今回の雪崩事故は標高1,500メートル以下の地点で起こっています。事故を起こした講習会も1,500メートル以下の地点で実施されています。3日目の茶臼岳登山の計画を除けば、事故が発生した春山登山安全講習会と同様の講習会を現在開こうとしても登山審査会で審査する案件とはなりません。今回の事故を受けての対策のはずなのに、今回の事故に対して有効な対策とはなっていません。講習会は登山には当たらないとして審査を免れてきたことが事故発生の要因のひとつとして挙げられているにも関わらず抜け穴だらけの対策となっています。

基準見直しの要望

この審査の基準に関しては、昨年の夏から再三おかしいのではないかと訴え、見直すように要求してきました。検証委員会の戸田委員長からも同様のコメントがあり、県教委は基準を見直すことを約束したはずですが、未だ見直しはされていません。
1,500メートル以下の山であれば審査は必要ないとのことで、夏山の季節が終わった9月から12月の間、審査もなく栃木県下の高校で登山活動が実施されたと聞いています。このような抜け道を残すためにあえてこの基準を変えていないのだと思わざるを得ません。登山活動をするなとは言いませんが、このような抜け道的なものではなく、正々堂々と審査を受けて実施すればいいだけのことだと思います。

雪崩事故の対策であるはずなのに、雪崩についての対策は再発防止策には盛り込まれておらず、1,500メートル以下の地点で起こった事故の対策であるはずなのに、1,500メートル以下の山は無審査で登れてしまいます。
このような抜け道をなくすために、山岳部の課外活動は例外なく審査対象とすべきであると思います。「近くの公園でのバーベキュー」であっても課外活動であれば計画を提出すべきで、そのような事案は登山計画審査会で審査するまでもなく、県教委の責任で許可すればいいだけです。肝心なのは抜け道を塞ぐことです。
いろいろな対策は考えてられるのでしょうが、標高の基準一つとっても筋が通らず、どのような意思を持って対策されようとしているのか理解することができません。形式だけのうわべだけの対策と思わざるを得ません。

雪崩の起こった地点

雪崩に遭った斜面は、天狗の鼻の下、標高1,500メートル以下の地点です。
事故に至ったラッセル訓練は、やろうと思えば現在でも登山計画審査会の審査なしで実施できてしまいます。
もちろん、現状ではそのような抜け道を利用しようとする方はいらっしゃらないでしょう。しかし、5年10年経つと対策は形骸化しがちです。抜け道を利用して何十年も講習会の審査を免れてきた組織が相手です。キッチリと抜け道のない基準を作ることが重要だと考えます。

基準の根拠となった教育長通知

どんな基準で誰が決めたのかもわからないような「県内の標高1,500m以下の登山については、承認も届出も要しない。」という基準を今も県教委は守り続けています。さらに、このような基準があっても「講習会は登山活動ではない」と言い張って審査を免れてきたのが事故を引き起こした高体連登山専門部という組織です。
今後審査逃れがないよう、課外活動は例外なく審査すべきだと考えます。

 

 


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