遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

登山専門部休止の衝撃

あまり大きくは報じられていないようですが、登山専門部が活動を休止するという報道がありました。
那須雪崩事故を引き起こした当事者組織がなくなるということであり、もっと大きく取り上げられるべきことかと思います。

活動休止に対する思い

この件については、3月の弔問の折に、登山専門部の部長である校長から直接休止の方針を聞いていました。とても残念な気持ちです。

話を聞いてみると、登山部に入る高校生が少なくなってきており、指導する教員も減っているため、登山専門部の組織を維持するのが難しいとのことでした。すでに加盟校がもう5校しかなく、その中で実質登山をしているのは3校だけとのことでした。専門部の運営は数少ない登山部の顧問だけで行うことはできなくなっており、元顧問の教員のサポートでなんとか運営しているとのことでした。そこで、数年間、登山専門部を休止して機能を事務局に返却したいのだと聞きました。顧問教員を対象とした安全講習は県教委が主催するそうです。

最初、休止するという話を聞いた時、これは逃げなのではないかと感じました。事故を起こした責任を取ることができず、登山専門部をなくせば今後表に出ることもなく、責任を問われることもないとの考えで休止するのではないかと感じました。その思いは今でもあります。

しかし、そもそも運営すること自体に無理が生じているとのことであり、無理をするとそこに歪みが生じ、そこをその歪みによって安全性が損なわれることが危惧されるのではないかとの思いが湧いてきました。昭和からの流れで無理な組織運営を行い、無理な天候・無理な地形で訓練を実施したことによって那須雪崩事故は発生しました。

なので複雑な思いを抱えてはいますが、休止という判断に至ったのはしょうがなかったのかなと今は思っています。

登山専門部に対する思い

栃木県登山専門部は、60年以上前に佐野高校で発生した雪崩事故を契機に設立され、安全な登山を目指すことを目的として発足したと聞いています。しかし、時間が経過するにつれて、この組織は本来の目的から逸脱し、顧問教員の登山技術を高めるという名目のもと、教員が登山を満喫し、海外登山挑戦を後押しするための場と化していました。教員たちは、生徒の教育よりも自分たちの登山経験を優先し、海外登山を行うなど、組織を私的に利用していました。

事故発生後も、登山専門部の対応は自己正当化が目立ち、事故があっても登山を続けるべきだとする独善的な考えが透けて見えました。これは、安全を軽視し、危険を顧みない姿勢が根強く残っていたことを示しています。登山専門部はこのような姿勢をもつ山に取りつかれた教員が育つ土壌となっており、この環境が事故を招いたのでしょう。

そうした背景から、長らくこの組織は廃止すべきだとの思いを抱えていました。今回、休止という話になり、山に取りつかれた教員を育てる環境がなくなることには安堵しています。

ただ、近年の状況は少し異なります。過去の独善的な教員が退職し、新たに登山専門部を引き継いだ教員は、古いOBの影響を受けず、安全を最優先に考えた登山活動を心掛けていました。部長や専門委員長の教員と何度か話をしましたが、組織が改善され、信頼できるものになっていると感じられました。

そのため、今回の休止が非常に残念でなりません。しかし、無理に活動を続けることで安全性が損なわれることを避けるために、休止という決断が必要だったのであろうと理解しています。

ここ数年栃木県の高校では山岳部の部員の数も減っていると聞いています。コロナ禍の影響かと思っていましたが、最近時でも部員の数は戻ってきていないとのことです。その結果として登山専門部休止となっています。全国的にはどうなっているのか気になります。

願わくば、今後部員や顧問教員の数が増え、休止解除との話になった際には、部活動の在り方が従来とは異なる形となっていることを望みます。


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