遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

【動画】事故当日の各班の行動

2017年3月27日、那須雪崩事故が発生しました。
事故は栃木県高校体育連盟主催の講習会で発生し、班別で雪中歩行訓練を実施している際に発生しました。 事故に至るまで各班がどのような行動をとっていたのか、動画でまとめました。

うまく再生されない場合はこちら

さらに大事故になった可能性

事故当日は、5つの班に分かれて雪中歩行訓練が実施されました。
生徒、教員合わせて合計55名もの人数が参加していました。

当日の行動を確認すると、死者が発生した1班だけでなく、他の班も危険な行動をとっていることが明らかになりました。 大勢の生徒・教員が雪崩の危険に長時間晒されており、さらなる犠牲者が出る可能性があったことを忘れてはなりません。

1~4班が雪崩が到達する危険な斜面に足を踏み入れています。
3,4班は、1班の後を追うような行動をとっており、雪崩発生のタイミングが異なっていたら雪崩の直撃を受けていた可能性があります。

1班の行動

1班は出発地であるセンターハウスから一本木まで進み、そこから方向を変え、樹林帯に入りました。

そして、樹林帯を超えてさらに進み、雪崩発生の危険性の高い斜面に足を踏み入れ、雪崩に遭遇しました。

 

訓練範囲は決められていなかった

どこまでを訓練範囲とするのか、どこまでが安全な斜面であるのか、なにも判断がないまま訓練が開始され、危険な斜面に足を踏み入れ、雪崩に遭遇しました。

樹林帯より先の斜面は、1班講師は自分でも行ったことのない斜面であり、それにも関わらず安全確認もなく、自ら列の先頭で斜面の状態を確認することもありませんでした。

なぜ大丈夫だと判断したのか

あとから見ると、雪崩の危険性の高い斜面であったことは明らかです。なぜそのような危険な斜面に足を踏み入れることができたのか、一番の謎です。

1班講師は、雪の状態、天候、斜面の角度から大丈夫であろうと判断したと証言しています。
しかし、1班講師である菅又教諭が、その判断に至った拠り所となるものが、検証委員会では何も調査されていません。


事故前までに雪崩についてどのような教育を受け、どのような知識を身に着けたのか、どのような雪山登山の経験があるのか、それまでに雪崩に遭遇したことがあったのか、疑問点はいろいろありますが、何も解明されていません。

検証委員会では講習会の責任者であった猪瀬教諭の山岳指導員の資格が失効していた点のみを指摘されていました。資格が失効しないように定期的な教育と講習が必要だとまとめられ、事故を引き起こした教員らの知識や受けてきた教育の中身にまで踏み込んではいません。

今後の再発防止策に活かすためには、危険な斜面に足を踏み入れても大丈夫だとする判断に至ったその中身にまで言及しなければ、本質的に何が不足していたのかわからないままとなってしまいます。

2班の行動

2班は1班の右側のさらに標高の高い位置の斜面から樹林帯に入りました。

2班講師は、1班が樹林帯を抜けて訓練範囲を広げていたことを上方に確認していました。
しかし、1班講師に連絡を取ることはありませんでした。

2班講師は、以前の講習会で問題の斜面に足を踏み入れたことがありました
それでも1班講師に連絡を取らなかった理由として、「少し風が出てきたので、早く生徒たちを風の当たらないところに連れていくことを優先した」と述べています。

2班は、下り初めて数メートルの位置で、右側面から雪崩に遭遇しました。

3・4班の行動

3班と4班は比較的ゆっくりとしたペースでゲレンデを登っており、1班の進んだ跡を辿り、樹林帯を進むこととなりました。

3・4班は1班の後を追って樹林帯を進みました。
3班が樹林帯を抜けたところで休憩し、訓練を再開したところで雪崩に遭遇しました。

5班の行動

5班は女子班で、体力に不安があったため、ゲレンデのみの訓練であり、体力に不安があったため樹林帯には入らず、ゲレンデのみの訓練でした。

始め、画面左側の第一ゲレンデから一本木を目指し、樹林帯下部のゲレンデを進みました。

一本木からさらに上方のゲレンデに進みましたが、斜面の傾斜がキツく、スピードが落ちました。斜面で休憩し、談笑している時に、他の教員から「雪崩が発生した」との無線が入りました。

5班講師は、「音も静かで、雪煙なども見えず、どこで雪崩が起こったのか、全くわからなかった」と述べでいます。


コメント

  1. エイジ より:

    菅又氏の判断の根拠は、これまで50年間事故に遭わなかった。実はこの7年前に雪崩に遭っているが、負傷者が出なかったので事故ととらえなかった。今回の判断の根拠は、そう言った過去の経験から『何となく大丈夫だろう』と判断したのではないでしょうか。判断に至った中身は『何となく』なのでしょう。だから根拠を問われてもその答えはきっと『何となく』でしょう。

    門外漢が勝手な事を言っている、と思われるでしょう。が、私は今までのこのH.P.を見てこういう感想を持ちました。

  2. 森 ひろし より:

     高校のクラブ活動の位置づけが、どうなっているのか。授業やクラス担任等の業務と並んで一応校務の一環としての教員が担うべき校務分掌として位置づけられているのだと思う。登山もそうだろうが、他の運動部なども教科担当と違って、担当することになる教員が生徒を指導できるだけの力量を持っているとは限らないのが現実で、学校に何々部がある以上、誰かが担当せざるを得ないので、割り当てられたのでなっている、最終的には校長の職務命令でもたされているというのが多くのクラブ活動の置かれた現状ではないかと推察する。一応、得手不得手もあるので各教員の希望は聞くのだろうが、全部の部活顧問が首尾良く決まるとは限らないので、空きができれば管理職が適当にあてがって決定するのだろうし、希望で決まったとしても、校長の責任で認めることには変わりがないはずだ。
     だから、事故が起きればクラブの顧問を決めた校長まず一義的な任命責任が問われるはずだ。また、クラブ活動の活動時間帯は、放課後であったり、土日であったりと、通常の教員の勤務期間帯の外で、「課外」で行われていて、土日などの勤務であっても交通費以外は手当も殆ど付かないようである。あくまでも課外活動でしかない、いわばボランティア的な仕事で、多くの教員の認識もそうではないのかと推察する。修学旅行の引率などと比べるととても軽い扱いになっているといえる。

     それでも多くの教員は、生徒の健全な成長のために必要な教育活動の一環として頑張っているのだと私は考えている。ただ、中には野球などメジャーなスポーツなどでは、クラブの顧問になり、甲子園に出場するなどで実績をあげ名を上げ、顧問を通じて出世(管理職つまり教頭・校長への登用)の足がかりにしていくケースもあるように聞いている。だから、顧問の一部には普通に考えれば割に合わないが、頑張ることで将来の出世の足がかりにつながる可能性もあるので、精を出して頑張っている教員もいるのではないか?
     クラブ活動は学校教育の中での位置づけはとても軽いし、専門家といえるような教員も少ない中で担われているのが、現在のクラブ活動で、学校教育の中で本当に必要な活動であるというのなら、それに相応しいプロの担い手を雇うべきかと考える。スポーツの場合には、事故は付きものであるからだ。とりわけ、登山のように素人の域を出ない指導者の判断が死をもたらす危険と常に隣り合わせのクラブ活動であればなおさらである。生徒の生死に関わる重大な事態を招く恐れのある、実際に重大事故が今回の那須雪崩事故ばかりでなく、過去にも何度も起きていたこのような活動を教員の仕事としては軽い扱いのいわば片手間仕事として行われて良いはずはない。顧問の任命は校長責任、今のクラブ活動の有り様を容認しているのは県教委であろう。校長も県教委もそのような重い責任の自覚のないまま職責を果たしている、だから今回の悲惨な事故が起きてしまったのではないのか?
     現在のような形で学校教育の中でクラブ活動を今後も行っていくのであれば、予算もしっかりつけて教科とは別にプロの指導者を付ける、それができないのであれば、安全な運営は困難であるので、学校から離れて地域の中で担っていく、地域のスポーツクラブなどに委ねていくしかないのではないか。そうでなければ、今の県教委や校長・当事者の教員等の遺族被害者の会の思いを逆なでするような弥縫策に終始している現状を見ていると、また第二、第三の悲劇が起きてしまっても不思議はないように思える。今の不十分な予算しか確保しない学校教育、そして校長と一般教員の関係や県教委のありかたなど教育体制の問題に大きな問題を孕んでいるように思えてならない。教育長の遺族宅訪問の際に、「事故を防止する制度設計から見直したい」というのなら、職責をかけて根本的に制度設計をしてもらいたいし、口先だけなら高給を取るだけの教育長など必要ないので即刻退職して頂きたい。
     

タイトルとURLをコピーしました