遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

栃木県の高校登山部の現状

2019年10月25日に初開催された「高校生の登山のあり方等に関する検討委員会」に於いて、栃木県の高校登山部の現状を示した資料が配布されました。検討委員会開催にあたって私たち那須雪崩事故の遺族から調査を要望した内容です。

 

 

そこには現状の登山部を設置している学校数の推移、登山部に所属している部員数、顧問の人数や引率経験など興味深い数値が示されていました。

登山部の行く末

その数値からは、登山部を設置している学校の数と部員の数は那須雪崩事故後に減少しているものの、学校あたりの部員数は増加している学校が多く、今後も部員数が増加するであろうとの傾向が見て取れました。
そして、その多くの生徒を新任や引率経験の浅い教員が引率している現状が浮き彫りとなりました。

現在も事故前と変わらないか、さらに危うい状況の中で登山活動が実施されているように思えます。

30名以上の部員を抱えた学校もあり、この大人数での登山は部活動というより学校行事の様相を呈していると思えます。これだけの人数の登山の引率を、アマチュアである教員が安全に引率できるとはとても思えません。大人数の登山を引率するためのスキルは、個人の登山のスキルとは別の技量が求められ、一介の教員にその技量を求めるのは困難であると思えます。

那須雪崩事故の影響で一時的に部員数は減少したものの、この栃木県においても昨今の登山ブームに乗って今後登山部への入部希望者は増加するように思えます。しかし、その増加した入部希望者に対して学校や教育委員会の体制が対応しきれているようには思えません。

しっかりとした体制の構築を

現状、なんとか帳尻を合わせるために、新任や引率経験の浅い現場の教員を研修や講習漬けにして登山活動を維持しようとしているように見受けられます。それはただ現場に負担と責任を押し付けているように思えます。また、本職が教育活動である教員に対して登山と引率のスキルを教育し、高度な技量を求めることは、時代の要求から見ても費用対効果の観点から見てもおかしなことに思えます。

今後も永続的に登山部を継続させていくのであれば、このような危うい体制ではなく、しっかりとした登山を引率するための知識と経験を備えた指導者の下で登山が実施できる体制を構築する必要があります。

そのためには、登山実施の際には山岳ガイドなど登山の引率のための資格を有した方の参加を必須とするなどの措置が必要です。

以下に検討会で配布された資料の数値から分析した栃木県の登山部の現状を示します。


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