遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

2017年3月27日に発生した那須雪崩事故の遺族・被害者の会のホームページです。

那須雪崩事故は死亡者8名、重軽傷者40名の学校管理下では最大級の事故でした。

那須雪崩事故について

処分への不満

主張

処分の発表

2018年3月19日、この事故について、教諭と教育委員会の職員への処分が発表されました。
処分の内容

●高体連登山専門部委員長 猪瀬修一   停職5ヶ月
●同副委員長       菅又久雄   停職5ヶ月
●            渡辺典弘   停職3ヶ月
●講習会に参加していた講師、引率教諭  口頭訓告:1名、厳重注意:4名
●真岡高校校長             文章訓告
●教育委員会教育次長、スポ振課課長   文章訓告

 検証委員会の報告書等を踏まえて検討してきた結果、生徒の安全に対する配慮が欠如していたと判断するに至ったため処分を行いました。
 処分量定につきましては、今回の事故と比較する事例はなく、また、本県の懲戒処分基準にも同様の事例はないことから慎重に検討して参り ましたが、本件事故には故意性が見られないこと、また、長年にわたって慣例化してきた体制という組織としての問題があったことも考慮し、 総合的に判断して決定いたしました。 検証委員会の報告書が出された後、慎重にかつ丁寧に議論を行ってきて、結論がまとまったのでこの時期の処分となりました。

 宇田貞夫県教育長は特別職のため処分対象となりませんが、月額給与の10分の1を6カ月間自主返納することを明らかにしました。

報道

故意でさえなければよいのか

 今回の事故は、生徒7名教師1名が死亡、40名が重軽傷を負うという、学校管理下では最大級の事故となりました。今後、学校管理下で事故があった場合、処分の量定はこの事故の結果を基に決定されることになってしまうことでしょう。

 また、私たち遺族からの要望書への回答でこのような記述がありました。
「(前略)免職としている事案は、酒酔い運転による事故や児童生徒に対する猥褻行為など、故意、かつ、刑法に触れるもの等が対象となっております。
 この記述からは故意でさえなければ教師は決して免職されないことが示唆されています。

 今回の処分とこの回答から、「通知を無視し、安全確認を怠り、生徒・教師が複数名死亡するようなどんなに重大な結果を引き起こしたとしても、故意でさえなければ教師は決して免職されることがない」ということが確認されることになりました。

 このような処分と基準で、今後の学校管理下の安全性に緊張感を持たせることができるのでしょうか。疑問を感じます。

間違ったメッセージ

「教育長からの通知も無視し、安全確認を怠って8人死んでも停職処分で済んでいる。安全確認を怠った現場の教諭も責任者も元の職場に復帰できている。」
「8人死んでも職場復帰できるのだから、これから先、安全確認を怠って生徒が1人や2人死んだとしても大した処分を受けることはない。」
「大事故が起きてどうなることかと思ったけど、教師の身分が守られていることが確認でき、安心できた。これまで通りの学校活動を実施できる。」
「生徒を守るための安全確認もこれまで通りか今まで以上に手を抜いても大丈夫。教師の身分が守られていることが確認できたのだから。」
このような間違ったメッセージを栃木県から全国に発信してしまったと思えて仕方ありません。

 今回の事故を受けて、安全性に対する先生方の緊張感を高めるために適切な処分が行われ、部活動など学校管理下での生徒の安全性が高まることを期待しておりました。それが8名の命を無駄にしないということですし、遺族の願いです。

 しかし、この量定から確認できたことは、教員の身分がしっかりと守られていることだけで、安全性確保のための緊張感はむしろ緩んでしまったのではないでしょうか。この緊張感のなさでは、栃木県下でいつかきっと同様の事故が繰り返されます。さらには全国に間違ったメッセージを発信してしまっているので、全国的に学校安全に対する意識がさらに低下するのではないかと危惧いたします。
 

 残念でなりません。
 この軽い処分によって、何年か後の救えたはずの若い命が再び失われることになる事態にならないことを祈ります。
 
 事実、1966(昭和41)年に出された冬山登山に関する通知は守られることもなく形骸化し、今回の事故が発生してしまいました。これから先、どんなに立派な再発防止策ができたとしても、それを先生方に守らせるための仕組みがなければ、悲劇は繰り返されます。
 

先生方のためにも

 学校管理下での安全確認に対する厳しい処分は現場の先生方のためにも必要だと考えます。
 今の状態だと部活動や行事などで安全確認もなく危険だと思われるようなことがあっても、「今まで通りやってくれ。今まで問題がなかったのだから。」と言われるのではないでしょうか。苦言を呈したとしても、「何を固いことを言っているんだ。今まで通りできないということは、俺たちのやってきたことを信用できないということだな。」と目上の先生に言われて断ることができる方はいないでしょう。
 それが厳しい処分基準ができたとすると、「しっかりとした安全確認を実施しないと自分が処罰される可能性がある。安全確認もしないでこのような危険なことはできません。」と断ることができるのではないでしょうか。また、現場の先生だけでなく、その行事の開催を決裁した校長などの責任者にもしっかりと処分が及ぶような処分規定が必要だと思います。そうすれば無責任に開催を決裁するだけでなく、責任者も現場の先生に状況を確認する動機となるでしょう。

無理をしない、できない環境に

 自動車のシートベルト着用の規制が緩かった頃、助手席に座ってすぐにシートベルトを締めると「俺の運転が信用できないのか。」と言われることがありました。今ではこのようなことを言われることはありません。シートベルト着用が法制化されたためです。今、学校管理下での生徒の安全は法制化前のシートベルトのような状態なのではないでしょうか?

 安全確認をしっかりしようとする先生が煙たがられ、いい加減な対応で済ませてきた先生が「経験豊富」の肩書をもって幅を利かせているのではないでしょうか。

 できないことは「できない」と言うことができ、「無理をしない」、「無理ができない」学校環境になることを願います。

 現状を変えるためにも厳しい処分と、それを明文化した処分規定が必要だと思います。


コメント

  1. 英治 より:

     この『処分の内容』には納得出来ませんね。『故意』では無い、って言い訳にもならないと思います。
    業務上過失致死にあたるのではありませんか。亡くなった8人、そしてその家族はもう元には戻れないのに、現場の責任者を含めた2人は5ヶ月、1人は3ヶ月我慢すれば元の生活に戻れる。以下、口頭や文書で訓告だの厳重注意だの当人たちの今後の人生にどんな影響があるのでしょうか。宇田教育長は特別職なので処分の対象にならないのはなぜでしょう。自主的に給料の1割をたった6ヶ月返納して済んでしまうのですか。
    8人の若者は人生を奪われ、残った家族は希望を奪われました。奪われた命と希望はもう戻ってきません。
     また命は失わなかっけれど40名もの重軽傷を負わせてしまった責任を問われているのにこの処分が適切だとは思えません。

  2. クロダ より:

    関係者の無責任さ加減にはあきれるほかありませんが、県の報告書(概要)を見ても、雪山に行くのに雪山に関する安全講習・対策がなぜ取られなかったのか、責任者個々人の行動に関する深刻な分析は見られていないと感じます。雪崩に関する基礎知識、弱層観察、ビーコンなどの訓練など、まず教員自身の基礎知識・経験のなさが問題で、教員に対する講習が先だと思われます。またそうした無責任体制を問うには、告発及び民事訴訟などを起こすしかないのでは、と思われます。