遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

【動画】事故現場の確認

2019年9月16日、大田原高校山岳部OB会の皆さまのご協力により、初めて私たち遺族が事故現場付近に足を踏み入れることができました。 OB会の皆さまありがとうございました。

この動画はその際に撮影した映像です。 現場まではかなりの急斜面で、行くことすら困難な場所でした。

確認した位置

事故現場へは警察の方が現場検証のために草を刈ってつくった道を作って登りました。
この道は1班が雪崩に遭って流された沢筋より1本北側の沢筋に作られた道でした。草を刈りこんだだけの狭くて急な斜面で、想像していた斜面とは全く異なっており、まるで沢登りをしている感覚でした。足場を確認しながら崖のような斜面を木や笹のようなその場に生えている植物に手を掛け、慎重に進むしかありませんでした。

当日の山の様子はこのような感じ。

この位置から登りました。

実際の現場付近への登山の様子(とちぎテレビ 2019.9.16 ニュース映像より)

登った際には正確な位置がわからず、どのようなルートをたどっているのか、どこまで登ることができたのかも不明でした。
しかし、現場で撮影した写真の位置情報から下図のようなルートで現場付近まで到達したことが下山後にわかりました。

事故現場付近で撮影した写真がこちら。
(写りこんでいた人物を消すために画像を一部加工しています)撮影位置をGoogle MAP上で示したものがこちらです。

1班が埋まったメインの雪崩は、この沢地形を雪崩れたと思われます。

 

事故現場を確認した思い

今回、慰霊登山というOB会からの呼びかけに参加させていただきましたが、私個人としては慰霊という気持ちはほとんどありませんでした。

なぜなら、息子の魂がこの事故現場にいるとは思えなかったからです。

息子の魂はとっくに家に帰っており、今も私たちと一緒に暮らしていると信じています。
このような凄惨な事故現場に息子の魂が残っている訳もないと思っているので、ただ息子が命を落としてしまった場所がどのような場所であったのか、息子が最後に見た景色はどのようなものであったのかを確認したくて参加いたしました。

当初、茶臼岳への登山だけの純然たる慰霊登山の申し出でありましたが、「単なる茶臼岳への慰霊登山なら行かない。事故現場に行くのであれば考える余地があるが。」と伝えたところ、私の要望に応えていただけました。

事故現場に至るまでには、那須町が管理しているスキー場を通る必要があるため、那須町に話を通す必要があります。また、このスキー場は夏季にはパラグライダースクールが開講されており、その運営会社との交渉も必要です。さらに、現場付近の樹林帯は国有林となっており、管理している国への申請も必要となります。また、事故現場に至るルートは、警察が現場検証のために草刈りをしたルートを使用させていただくため、警察にも話をする必要がありました。

事故現場まで登るにあたってのこれらの面倒な手続きはすべて大田原高校山岳部OB会がしてくださいました。また、下見も含めて現地までの案内もしてくださり大変お世話になり、感謝いたしております。

一方で、ただ事故現場に行くだけで、これだけの手間と交渉が必要だという事実に愕然とします。また、警察の方が現場検証のため草を刈りこんでくれてはいますが、現場までの道は管理急で危険な沢筋の道です。そのような危険な道を通らなければ現場にはたどり着けません。

なぜ息子が命を落とした場所に行くだけのことがこんなにも困難なことなのでしょうか。そう思うと改めて悔しさが募ります。なぜ行くことすらなかなか叶わないこのような場所にわざわざ足を踏み入れ、息子らの命を奪ってしまったのでしょうか。

雪が積もると斜面の様子は大きく変わり、登る感触も全く異なったものになるのでしょう。
いつか、雪が積もった状態で現地に行ってみたいと思います。しかし、雪崩の危険性の高い斜面なので、積雪がある状態では訓練を積んだ雪崩の知識を十分に知識を持った方に同行をお願いして行くべきでしょうし、ハードルはさらに上がります。

つくづくなぜこんなところまで行ってしまったのか、疑問に感じます。


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