遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

民事調停不成立を受けて

2022年1月24日、民事調停が不成立となりました。

2年近く調停を続けてきたにもかかわらず不成立となり残念に思います。調整を続けて頂いた調停委員、裁判所の皆様にはお礼を申したいと思います。

私たち遺族は調停を話し合いの場と捉え、事故や責任について県教委や高体連、当事者である教員らと話し合うことを希望していました。事故に対する認識や、謝罪や補償など意見の隔たりがあることはわかっていました。それらの隔たりを埋めるため、話し合ってお互いに歩み寄るために調停という場を選びました。

話し合いをしたかった

私たちは話し合いをしたかったのです。

しかし、県側には話し合う態度はみじんもなく、結局事故に対する認識や補償面についても歩み寄りはありませんでした。2年近くの調停に於いて彼らの主張が一歩も動くことはありませんでした。

当事者である3教諭に至っては出席することすらなく、代理人を立てることもなく完全に私たちのことを無視しています。弔問に来ることもなく、事故を過去のものとして忘れて今日も教壇に立っています。

なぜこんなことが許されるのでしょうか?

那須雪崩事故は人災

県側は部活動の中での事故であったということで、「賠償責任は県にある」として賠償責任については認めています。しかし、事故の発生責任については、雪崩は自然災害であるので責任はないと認識しているように思えます。

そういった認識なので3教諭を出席させず、重大な過失はなかったとして求償もしないといっているのだと思われます。

事故のあったあの日に多量の降雪があることは数日前の天気予報からわかっており、前日の夜から30cm以上の降雪がありました。予報通りに多量の降雪があり、雪崩発生が十分予見できる状況でした。

そんな中、安全確認もしないまま予定になかった雪の中での歩行訓練を強行し、ゲレンデなど安全に訓練を実施できる場所はいくらでも選択できたはずなのにゲレンデを外れ、許可なく立ち入ることのできないゲレンデ外の国有林を通ってわざわざ雪崩発生の危険性の高い斜面まで息子たちを引率し、雪崩に被災しました。その結果として、訓練に参加した40名以上の生徒・教員が命の危険に晒され、8名もの命が奪われました。

このような事態が「春山安全登山講習会」という、「安全」と名がつく「講習会」の場において発生しました。

これを人災と呼ばずして何が人災なのでしょうか?那須雪崩事故は自然災害などではありません。

教訓が残らない

病気や交通事故であっても子を失った親の悲しみは変わるものではありません。

しかし、学校事故は他の原因で子を失った場合よりも学校や教育委員会の心無い対応によって長期間苦しめられている例が多くあり、この事故もその例にもれません。事故から5年近く経った現在でも遺族は苦しめられ続け、ちゃんとした教訓は残っていません。

このままの状態で和解となると後世に間違った教訓が残ってしまいます。

今後に向けて

私たちは調停を話し合いの場と捉え、和解に向けて努力いたしました。こちらから和解案も何度か提示いたしました。

しかし、県や教員は話し合いの場に着こうともせず、文句があるならどうぞ提訴してくださいと言わんばかりの態度で調停に挑んできました。そんな状況で調停が進むわけもなく、私たちに残された選択肢は提訴しかなくなってしまいました。

今後提訴し、訴訟ということになるかと思います。そうなると話し合いというわけにはいかなくなると思いますので、私たちにとっては不本意ですし、残念に思います。

今後は、民事裁判を通して、この事故は自然災害ではなく人災であったということを明らかにしていきたいと思います。


コメント

  1. エイジ より:

    1)この雪崩は前夜からの降雪中に登山して斜面を刺激したことが原因だと思います。自然災害ではありません。誤った判断のもと登山をさせた顧問(=責任者)の重過失による事件だと考えます。
    2)前夜から雪が降っていた。生徒たちは降雪中のテントで寝た。顧問は旅館で(おそらく風呂に入り)温かい夕食をとり、暖かい部屋で寝んだ。顧問の教諭は翌朝、退出(チェックアウト)で慌ただしく、無線を携帯するのを忘れ,現場との連絡が取れなかったというような言い訳をしていたと記憶しています。なぜ慌ただしかったのか、大いに疑問を持っています。 降雪中に幕営している生徒たちを気遣わなかったのでしょうか。はやく起きて現場を見に行く、あるいはせめて無線連絡をして無事を確認する、責任者はすべきことだと思います。暖かい部屋でつい寝過ごしてしまった!!!????
    3)遺族は(亡くなった本人)は、その直前まで当たり前だった日常生活を奪われました。そしてこの事件の現場の責任者、学校、県からは謝罪も安静の言葉も無く、平穏に過ごしたい生活を毎日壊され続けています。
    学校事故は(事件)、学校、教育委員会により長期間苦しめられる、まさにそのものです。
    4)この事故は自然災害ではなく人災で、私は事故でなく事件だと思っています。
    顧問教諭が誤った判断を下したと言う重過失による致死事件だと考えています。

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