遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。
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事故から4年の追悼式

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2021年3月26日、栃木県教育委員会、栃木県高等学校体育連盟、那須雪崩事故遺族・被害者の会の3団体の共催で那須雪崩事故の追悼式を開催しました。晴れ間も見えましたが、小雪がちらつき強風が吹きつける事故当日を思い起こさせるような中での開催でした。

今までは県教委が主催の追悼式とは別に遺族単独で追悼式を実施していました。多数の遺族が欠席した2年前の県教委主催の追悼式では教員ではなく生徒に登山の安全を誓わせるといった明らかに間違った教訓を伝えていました。遺族の思いを踏みにじり、息子たちの尊厳も傷つけるような人たちと一緒に追悼式を開催するなんて絶対無理だと思っていました。
そんな葛藤もありますが、事故の教訓を正しく後世に伝えるため、共催という形にして私たちの思いを伝える必要があるとの結論に至りました。

遺族代表の言葉


「かけがえのない あなたへ」

今から4年前、2017年3月27日に高校体育連盟主催の「春山安全登山講習会」で雪崩が発生し、沢山の生徒と教員が雪崩に巻き込まれ、8名の生徒と教員が命を落としました。

生徒に安全登山に必要な知識と技術を習得させ、登山事故の防止を目的としていた講習会のはずでした。しかし講習会では天候の変化により講師の判断で急遽ラッセル訓練を行うこととなり、雪崩事故が発生しました。

今回は初めて県教委と高体連、そして遺族との合同追悼式となりました。しかし私の心はまだ一緒に追悼式をやりたいという気持ちにはなっていません。この4年間の県教委とのやりとりは、お互いの意見に合意できる事が少なく、なかなか前に進むこともできず、ただ時間だけが過ぎてしまう部分が多かったためです。

亡くなった息子達にも報告出来ることがほとんどなく、仕事と家庭と県教委との話し合いの日々が目まぐるしく過ぎて、心身ともに疲弊する事が多い4年間でした。しかし、ある日突然人生の幕を下ろされた息子達の無念さを思うと、私達の苦労などその比ではないでしょう。今やれる事をやらないで後で後悔したくないという気持ちになります。

あなた達を守ってあげる事が出来なかった、自分達親よりあなた達子供を先に逝かせてしまったことを私は何年経ってもずっと悔やみ続けると思います。この先私が何年生きるかは分かりませんが、自分が死を迎える時が来ても「いい人生だった。大変な事もあったけど頑張った」などと言う事は決してありません。そんな言葉は言えないと思うのです。

私達の8人の息子達はみんな前に進むため努力をしてきました。自分の未来に何の疑いも持たない生徒と教員でした。その息子達の死を決して無駄にはしたくはありません。私達は今回起きたこの事故を風化させてはいけないと、これからも声を大にして叫び続ける必要があります。

私はいまだに息子がある日突然家に帰ってくることを期待しています。もし今、息子と話す事が出きたら、私達に何を言いたいのだろう?何をしてあげられるだろうといつも考えています。あなたをあきらめる事が出来ない、死を受け入れることなど出来ないのです。

家では目に届く所に息子の写真がいくつも飾られ、イベントがある度、「もうすぐ誕生日だ」「同級生の子達は成人式だ」「どこの大学生になっていたかな」と、本来あったはずの未来を語って過ごしています。あなたの未来は想像することしかできません。そして4年もの月日が経ち、想像することさえ最近は難しくなっています。

息子は小さい頃から要領が決していい方ではありませんでした。それでも「出来ない」とあきらめる事が殆どない子でした。時間がかかっても最後には出来るようになる、努力をする子供でした。

息子は大田原高校の生徒となってからは、日々忙しく生活していました。その中で頼りなかった息子は少しずつ誰に頼るわけでもなく自分の事を自分で決め部活と勉強を自分のペースで進めていく事が出来るようになっていきました。

大田原高校は息子が今まで体験した事がなかった色々な事を体験出来る場でした。同級生や先輩達から沢山の事を吸収し、いい影響を受けることのできた場所でした。息子にとって大田原高校で過ごした日々はかけがえのないものであったはずです。

だからこそ悔しいのです。3年間高校に通わせて、きちんと卒業させてあげたかったと心より思います。

本来なら今、大学2年生、4月からは3年生になっていたはずです。どのように成長していたことでしょう。山岳部に入って登山は続けていたでしょうか?雪崩事故に遭っていなかったとしても、この講習では間違った知識しか学ぶことができなかったように思えます。30センチ以上の降雪がある中、急斜面を登ることができたのだから大抵のことは大丈夫なんだと判断してしまう無謀な登山者になってしまったかもしれません。そんな今を想像して悲しくなることもあります。

過去にもこの講習会では雪崩事故に遭っています。雪崩発生は十分予見できたはずで、子供たちにそういった安全管理を教えることがこの講習会の目的だったはずです。そういった目的も忘れ、過去何年にもわたって無謀な登山者を育て、何人もの命を奪ったこの講習会を反省していただきたい。そして、二度と同様の事態が繰り返されないことを私たちは願い続けます。

息子へ。あなたと過ごした日々は私達にとって宝物であり、かけがえのない時間でした。あなたに会えなくなって、あなたの居ない月日を過ごしている事が未だに信じられません。あなたの居ない生活は寂しくて、家の中の雰囲気も、周りの環境も少しずつ変わってしまいました。

あなたに会いたい、声を聞きたい、何処にいるのかな、きっと家に一緒にいるよね、とこれからも写真のあなたに語り続けます。あなたはこの先もずっと、私の大切なかけがえのない子供である事にはなんら変わりはありません。いつでもあなたの事を想っています。

那須雪崩事故遺族・被害者の会
奥 友子

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