遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

那須雪崩事故の徹底捜査を求め宇都宮地検に申し入れをいたしました

1月8日に 那須雪崩事故の徹底捜査を求め地検に申し入れを実施しました。

弁護団、遺族5家族が参加しました。

申し入れは以下の内容です。

「安全確認もなく漫然と部活動を実施し、生徒の生命を危険に晒す行為は罪であると捜査を通じて明言してほしい」と訴え、徹底した捜査と処分をお願いいたしました。

  内容概略 ファイル
弁護団 昭和41年11月22日に県は各高校等に通達を出している。その中で、「冬期積雪期における登山については極力避けることを原則とし」「安全確保を基本条件に」「経験豊富な指導者のもとで」「かなりに基礎訓練物を対象に」「安全確保できる場所で」で基礎訓練にとどめるよう慎重な態度でのぞむものとする。」と定める。
本件事故はこの基準違反はあきらかと言わざるを得ない。
御庁の捜査においては、各被疑者の捜査に当たり、同基準違反の有無を軸になされてしかるべきであり、その場合、少なくとも同通達に違反して登山を実施した大田原高校校長の責任は免れないものであり、引率教員3名の責任も同様に免れないものと考える。
今後、事故の教訓を風化させることなく、学校における事件事故を防止するためにも、事故についての徹底した真相究明の為捜査を尽くしていただくことを要請し、本申入れを行う。
弁護団申し入れ書
生徒遺族 栃木県教育委員会が示したこの事故に対するケジメは、残念ながら極めて軽い処分に留まるものでした。再発防止策についても登山経験の乏しい教員が主体となって生徒を引率する点は事故前と変わることなく、いろいろと規則を定めてはいるものの、罰則もない形式的で実効性の乏しいものとなってしまっています。
教育現場に緊張感を持っていただくため、安全確認もなく漫然と部活動を実施し、生徒の身体・生命を危険にさらすことは罪であるとこの事故の捜査を通じて明言していただきたいのです。それが私たちの望みであり、死んでしまった息子たちの生きた証しになると思っています。
きっとその結果が起点となり、全国的に学校管理下での生徒の安全性を見直すきっかけとなると思っています。そうなるかどうかはこの事故に対する警察と検察の皆様の捜査とその結果に掛かっています。
息子たちの命を無駄にしない、そのような結果を期待しております。
検察庁申し入れ
教員遺族 息子は、最も危険性の高い第3日目に引率をさせられ、生徒とともの雪崩に遭遇しました。教員でただ一人命を落としました。
新規採用教員で第3顧問の立場である息子が、部活指導で命を落としたのは、主催者である高体連や学校運営責任者である校長が、安全に配慮する義務を確実に果たさなかったからです。生徒と教師が安全に活動できるように注意をしなかったからです。
登山専門部の部長であった植木校長は、退職し処分を受けていません。また停職処分を受けた3名は、停職期間が終わり、職場に復帰している者もいます。8名の死や遺族の絶望と比べると、余りには軽い処分です。これでは8名は報われないと思います。
検事の皆様には、私たちの思いや願いをお汲み取りいただき、この事件の刑事的責任を明らかにしていただき、8名の死に値する処罰をお願いします。
検察庁申し入れ 口頭説明資料

今後の捜査・立件に期待いたします。

以下、生徒遺族の申し入れの内容です。

 本日は遺族の思いを述べさせていただくこのような機会をつくっていただきありがとうございます。

 平成29年3月27日に発生した那須雪崩事故について、関係者の刑事責任追及に向けた徹底した捜査をお願いいたしたく参りました。関係者に対する私たち遺族の処罰感情は事故後から変わることはなく、この事故をしっかり立件し、関係者を起訴していただくことを望んでいます。

 事故発生後、私たち遺族は事故を引き起こした栃木県教育委員会と高体連を注視して参りました。教員や関係者の処分などによってどのように事故に対するケジメをつけるつもりなのか、また再発防止へどのように取り組んでいくのか注視し、質問を繰り返して参りました。
 栃木県教育委員会が示したこの事故に対するケジメは、残念ながら極めて軽い処分に留まるものでした。再発防止策についても登山経験の乏しい教員が主体となって生徒を引率する点は事故前と変わることなく、いろいろと規則を定めてはいるものの、罰則もない形式的で実効性の乏しいものとなってしまっています。

 これでは何の教訓にもなりません。8名もの命が奪われた結果とはとても思えません。このような凄惨な事故を引き起こした結果としてしっかりとした教訓を残さないと、学校管理下においてこの先何度でも重大事故は繰り返されます。このような何の教訓も残さない結果となってしまうのであれば、私たちの息子の命は無駄になってしまいます。

 現状の学校の環境は異常な状態です。十分な安全確認もなされず、誰も責任をもたないまま部活動が実施されています。現に那須雪崩事故のような凄惨な事故が発生しても誰も責任を取ることはありませんでした。事故後も安全性が担保されず、相変わらず緊張感もないまま顧問教員が主体となって登山活動は継続され、冬季の登山も実施されているような状況です。

 また他の部活動においても、真夏で気温が35℃に達するような環境であっても屋外や締め切った体育館で部活動が実施され、熱中症で救急搬送者が多数発生するような事態が日常的に発生しています。熱中症で何人もの生徒が亡くなってもその状況は変わっていません。
緊張感もなく、生徒の身体・生命を危険に晒している状況は事故前となんら変わることはありません。

 そういった状況の中でのお願いです。教育現場に緊張感を持っていただくため、安全確認もなく漫然と部活動を実施し、生徒の身体・生命を危険にさらすことは罪であるとこの事故の捜査を通じて明言していただきたいのです。それが私たちの望みであり、死んでしまった息子たちの生きた証しになると思っています。

 きっとその結果が起点となり、全国的に学校管理下での生徒の安全性を見直すきっかけとなると思っています。そうなるかどうかはこの事故に対する警察と検察の皆様の捜査とその結果に掛かっています。

 息子たちの命を無駄にしない、そのような結果を期待しております。

 よろしくお願いいたします。

2019年1月8日 那須雪崩事故遺族・被害者の会 宇都宮地方検察庁への申し入れ内容

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