遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

第1回「那須雪崩事故 祈りと誓い」

本日3月26日、那須雪崩事故遺族・被害者の会主催の追悼式を実施いたしました。
事故の犠牲者に祈りを捧げ、思いをつなぐとともに8名の命を無駄にしないための誓いを立てることを通し、事故の教訓と再発防止を訴えることを目的としています。

遺族代表の言葉

あなたたちに 会いたい

あなたたちに会いたい、心を通じさせたい そう願い、
 今、ここに、家族、友人が集まっています。
こんな風になるなんて、誰も考えませんでした。
 今でも、信じられません。
  あなたたちがいないことが。

二〇一七年三月二十七日、午前八時三〇分過ぎ、この場所の、あの斜面で、
 雪崩が起きました。
何十名という生徒たちが雪崩に飲み込まれました。
 その中で、あなたたち八名が命を落としました。
  このときから、あなたたちの運命は、狂ってしまいました。

あの斜面に登ることを決めたのは、
 計画変更を決めた責任ある立場の人たちです。
  あなたたちに、責任はありません。

あなたたちは、あの斜面を登りたいと、
 あのとき、本当に、思ったのですか。
  本当は、登りたくなかったのではないですか。

あのとき、あなたたちの目には、何が見えたのですか。
 どのような音が、きこえたのですか。
  脳裏に、何が浮かんだのですか。

雪崩に流されている時、何を思ったのですか?
 怖かったでしょう。
  お父さん、お母さん、助けて と叫びたかったのではないのですか。

それとも、
 考える暇さえない勢いで、流されてしまったのですか。

いくら尋ねても、あなたたちの声は、私たちには届きません。

最愛の我が子が、こんな山の中で、雪に埋もれ
 誰にも 看取られず
  一人で息を引き取るなんて

かわいそうで、かわいそうで、なりません。
 このことを思うと、私たち家族は、涙が止まりません。
  言葉が出ません。

大田原高等学校でのあなたたちは、
 夢と希望に満ちあふれた生徒と先生であったことを、
  私たちは、よく分かっています。

あなたたちが夢見た将来は、
 もう実現することができなくなってしまいました。
それを思うと、私たちは、苦しくなります。
 悲しみで、居たたまれなくなります。

事故のことを知り、たくさんの友達が来てくれました。
 みんなが、涙を流してくれました。
  知り合いは、私たちの話を聞いて、涙してくれました。

あなたたちが、どれほど大切な存在であったのか、
 どれほど掛け替えのない存在であったのか、
  私たちは、分ってほしいと思い、関係者に訴えてきました。

そして、どうしたらこの事故を防ぐことができたのか、
 何をすれば命を救うことができたのか、
  ずっと自問自答をしてきました。
関係者にも質問し、答えを探し続けてきました。

県では、検証委員会が作られ、事故の経緯と原因の究明が検証され、
 報告書が作られました。
高体連と登山専門部は、説明会を実施し、
 私たちの質問に回答しました。
警察は必死に捜査してくれました。

でも、私たちには、
 なぜあの天候の中で、あの斜面を登ることにしたのか。
何をどうしていれば、あなたたちの命を救うことができたのか、
 納得できる答えが、見つかっていません。

私たちは、これからも、力を合わせ、
 どうすれば、あなたたちを助けることができたのか、
  その答えを探し続けます。

その答えが、雪崩事故を防ぐことになります。
新たな犠牲者をださないことに役立つはずです。

今、ここに立ち、あなたたちの笑顔を、思い出すと、
 あなたたちのやりたかったこと、
  夢見たこと、
   希望したこと、
それを実現させてあげたかった。
その想いで、いっぱいです。

もう一度、あなたの顔を見たい、
 あなたの笑い声を聴きたい、
  あなたの匂いを感じたい。

 そして、
  あなたの「ただいま」という声を聴きたい。

平成三一年三月二六日
那須雪崩事故遺族・被害者の会


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