遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

まるでギャンブルに興じているよう

まるでギャンブルに興じているよう

 記録的な猛暑となった今年の夏ですが、今年度と昨年度の栃木県下の部活動中や大会中の熱中症で倒れた生徒数、救急搬送された生徒数を県教委に問い合わせました。

 今年度、県立学校の部活動では熱中症が原因となる救急搬送は7件発生しており、高校の剣道部の部員が救急搬送されたことがニュースになっていました
 中学校の地区大会で52件も熱中症による救急搬送が発生しています。
 対して高校の高体連主催の大会では0件となっていますが、高校野球では21件救急搬送発生しています。

栃木県下の学校での熱中症による搬送の件数

 今年度の熱中症が要因と思われる生徒の救急搬送の件数については以下のとおりです。
 なお、昨年度については重篤な場合のみの報告を求めていたため、該当する事例はありませんでした( 本年度から症状の軽重にかかわらず救急搬送された案件については全て県教委に報告を求めております)。

< 平成30年度熱中症が要因と思われる救急搬送件数>
【県立学校8月27日現在】
部活動: 7件(10名) 学校行事: 2件(3名) 授業中: 3件(6名)、
授業以外: 2件(2名)
【学校体育団体】
中体連: 地区大会52件、県大会2件高体連: 0件
高野連: 21件( 選手2名、応援団19名)

 救急搬送者だけでこれだけの数発生しているのですから、倒れたが搬送されず、日陰で水分補給をして事なきをえた生徒はどれだけいるのでしょうか。
 実際、この猛暑にもかかわらず、相変わらず冷房もない体育館で、一日中練習や試合をしている様子を私は目の当たりにしています。

熱中症対策

 実際、熱中症対策としてどのような施策を実施したのか、同じく栃木県教育委員会に質問しました。

【質問】
 記録的な暑さとなった今年の夏ですが、栃木県下の部活動では熱中症対策としてどのような施策を実施されたのでしょうか。

【回答】
 熱中症事故の防止については、暑さ指数等を測定し、「熱中症予防のための運動指針」(( 公財) 日本スポーツ協会) 等を参考に、運動等の実施を判断するなど、適正に対応するよう県立学校を指導するとともに、市町教育委員会に対しても、同様の依頼をしております。

 「適正に対応するよう指導」し、市町村教育委員会には「同様の依頼」をすることが対策とされています。「適正に対応するよう指導」した結果、35℃を超えるような状態であっても部活動が実施され、これだけの救急搬送者数となっています。
 死亡者が出なかったのは運がよかっただけだと感じます。

 現在の状況は那須雪崩事故の7年前にあった雪崩事故の状況によく似ていると感じます。
 7年前の事故で運よく死者が出なかったために、事故の報告もなく、有効な再発防止策をなにもせず、7年後に那須雪崩事故は発生して8名もの死者を出してしまいました。

 同じように抜本的な対策もなく、こんなことを続けていると数年以内に熱中症による死亡者が出るのは必然ではないでしょうか。
 来年以降、熱中症による死亡者が発生したとしたらどうするのでしょうか。

 そうなったとしたら、きっと顧問は「水分補給や休憩は十分とっていた。こんな事態になるとは思わなかった。」と言うのでしょう。大会関係者も「猛暑を考慮して試合開始を前倒しして対応していた。水分補給などの注意喚起は実施し、できるだけの対応はしていた。」とかいうのでしょう。

 そして「故意ではない」として顧問や大会関係者への処分もなされないことでしょう。
 35℃にも達するような状況で部活動を行うこと自体、「故意」だと判断できると思いますがそう判断されることはないでしょう。

まるでギャンブルに興じているよう

 部活動に熱心な顧問教諭や大会関係者は、まるで生徒の命を賭け金としてギャンブルに熱中しているように思えます。自分たちの持ち金はなにも賭けず、何の責任も負わずにギャンブルに興じることができるとしたら、それはさぞ楽しいことでしょう。
 そうやって無責任に安全対策もないまま部活動が続けられた結果、栃木県教育委員会や栃木県高校体育連盟は自らそのツケを支払うことなく、私たちの息子の命でそのツケを支払いました。

 民間の企業であれば、「売り上げが下がる」「潰れるかもしれない」というリスクが自然と賭け金となり、責任を負うことになるでしょう。県教委や県立学校ではそのような心配をすることはありません。
 事実この事故を受けて県の税収が下がったわけでもないですし、廃校になった学校もありません。関係者に対する処分も軽微なものに留まっており、誰も責任をとっていません。

 そして那須雪崩事故を受けて作成された栃木県教育委員会の再発防止策は、顧問教諭らに数々の研修を強いるだけで、関係者がなにもリスクや責任を負うことがないという点では事故前となんら変わることがありません。
 そして抜本的な再発防止を実施することなくまたツケを貯め始め、そしてまた生徒の命でそのツケを支払うことになるのでしょう。

 顧問や大会関係者、そして教育委員会に相応の賭け金を支払わせるような仕組みが必要です。
 そしてその賭け金に見合うよう部活動や大会の規模を縮小して安全に実施できるようにすべきですし、そうなるように望んでいます。


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