遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

教育長からの追加回答

4月26日、県教委から郵便物が届きました。先月の教育長との懇談で追加要望した質問の回答です。

3月31日の教育長との懇談会で提示された要望書回答に対して3点追加要望で質問し、回答を求めました。連絡も内容の確認もなく、一方的に郵送で送られてくることはいつものことで、毎回苛立ちを感じさせられます。

以下に要望と回答を示します。

1.県及び県教育委員会の責任について

 

要望

前回提示された回答では「講習会に参加した生徒達には責任がないことから、県に賠償責任があると考えています。」といった表現で回答されていました。
これでは教諭らの過失によって事故が発生したことが読み取れません。県側の過失が原因で事故が発生し、事故発生の責任を全面的に認めている表現にこの文章を読んだ誰もが理解できるような表現に改めてほしいと要望いたしました。

 

回答
今回は、学校教育の一環である部活動中の事故であり、事故発生日に訓練の計画変更に関わった教員や各班の講師、引率教員には、生徒に対する安全配慮義務を十分に履行しなかった過失がありました。よって、関係者については、3月19日付けで処分を行ったところであり、その内容は既にお伝えしたとおりです。
 また、県立学校教職員の過失によって引き起こされた事故でありますことから、県には、生徒の御遺族等の皆様に対する賠償責任があります(国家賠償法第1条)。御遺族等の皆様に対しましては、示談に向けたお話を聞いていただけるよう、丁寧に御説明をして参りたいと思います。
 加えて、県教育委員会には、二度とこのような事故を起こさないよう、再発防止に全力を尽くす義務があると認識しており、「那須雪崩事故を教訓とした学校安全のための取組」に掲げた取組を着実に推進することにより、その責任を果たして参りたいと考えています。 なお、刑事責任に関しましては、警察の捜査等を見守りたいと思います。

ようやく平易な表現になってきました。これだけのことを言っていただくだけで、事故から1年以上経っています。
事故の翌日にでも言えたことなのではないでしょうか。なぜこれだけのことが要求しなければ出てこず、これほど時間が掛かったのでしょうか。

2.昭和41年11月22日付け教育長通知「冬山登山の事故防止について」について

 

要望

 冬山登山事故防止のために定められた通知が存在し、その通知は忘れ去られ、全く守られることなく事故が発生しました。この通知が守られなかったことに対し、処分にどのように反映したのか説明してくださいと要望いたしました。

 

(回答)
昭和41年11月22日付け教育長通知「冬山登山の事故防止について」については、「栃木県教育関係職員必携」にも掲載されるなど、栃木県内の公立学校教職員であれば全員が承知しておくべき内容であったと考えております。那須雪崩事故検証委員会の報告書においても通知の内容が踏まえられているところであり、関係職員の処分については、それらも考慮した上で総合的に判断いたしました。
なお、検証委員会からの指摘の通り、当該通知について、県教育委員会からの周知が不足していたことなど、組織としての対応にも問題があったと考えています。

 

この回答は教育長が弔問の際に言っていた言葉と大きく異なります。

弔問でこの件について問いただしたところ、「昭和41年の通知を守らなかった点については、今回の処分には反映されていない。」と教育長自ら明言されていました。あまりに素直にそう言われたので「教育長が反映されていないことを認めるとは意外です。」とこちらから再度聞き直したくらいなので、明言されたことは間違いありません。そう明言されたはずなのに、持ち帰って正式な回答として出す際には「関係職員の処分については、それらも考慮した上で総合的に判断いたしました。」と言っていたことを覆しています。どういうことなのでしょうか。
県側の職員や弁護士と相談した結果、処分に反映されていないことを認めるわけにいかないという結論になったのかと思いますが、こういったことの繰り返しで信頼が失われていくのです。

 また、「総合的に判断」などといったあいまいな表現では納得できません。どのような基準で処分されたのか、今後も明確な回答を求めていこうと思います。

3.部活動中の事故等に対する懲戒処分の基準について

 

要望

 「那須雪崩事故を教訓とした学校安全のための取組」や3月22日付で出された平成30年3月22日の通知など再発防止策が打ち出されております。しかし、昭和41年の通知が忘れ去られた事実からもそれらを守らせるための仕組みがなければこれらの施策は容易に忘れ去られることでしょう。
このことから生徒の安全確保に対して緊張感を持っていただくため、学校管理下で過失により生徒を死亡させた場合の懲戒処分の基準を明確にするよう要望いたしました。

 

(回答)
対応について検討しているところです。

 

教育長が弔問に来られた4/14に、「教職員課に、部活動での事故があった場合の処分規定をつくることができないか検討を指示した」と今回の回答と同様の言葉を頂きました。しかし、4/10に別の遺族宅に弔問に訪れた際にはまだ検討していないとの回答でした。4/10~14の間に検討を指示されたようです。それ以前には何の検討もなされておらず、遺族が訊いたから仕方なく検討を始めたということなのでしょう。
この件だけで揚げ足をとるのは本意ではないのですが、守られなかった通知や規則を守らせるためにどのような制度設計を考えられているのか、教育長は何も考えていないように感じます。「今後は通知についてしっかりと知らせる努力をしていく」とは仰られましたが、何も担保されていません。このままではどんなに素晴らしい再発防止策を打ち出しても5年10年で風化し、誰も守らなくなる姿を容易に想像できます。

「検討したが処分規定に盛り込むことは難しかった」という回答が今後予想されるので、石川県には学校事故に関する処分規定があることをお知らせしておきました。石川県にできることができないはずはありません。

石川県教育委員会の教職員の懲戒処分の基準 抜粋

(12)学校事故
学校管理下で過失により事故を発生させて児童生徒を死亡させ、又は心身に傷害を負わせた教職員は、停職、減給又は戒告とする。

この規定に「安全に関する通知・規則を守らずに児童生徒を死亡させた場合は免職もありうる」と加えて処分規定に盛り込むよう要望しました。
通知・規則は徹底して守られる前提なので問題はないはずです。

今後の検討を見守っていきたいと思います。

 

 

PDFファイル

要望書の回答補足

 

 

 

 


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