遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

冬山登山のための通知

 教育関係職員必携と呼ばれる栃木県教育委員会が編さんした辞書のような本(以下、必携本)があります。
 第一法規株式会社のホームページにて誰でも購入可能のようです。
 栃木県下の教育現場には必ず備えられているそうです。管理職の教員はそれぞれが手元にお持ちで、管理職でなくとも購入している方も多数おられるとのことです。

「冬山登山の事故防止について」の通知

 このように栃木県下の教育現場に広く行きわたっている必携本の中に「冬山登山の事故防止について」の通知が記載されています。50年も前の通知ですが、最新の必携本にも記載されており、周知されるべき重要通知として扱われています。

「守る必要はない」というメッセージ

 また、この通知を守らなかった点については、先日発表された教員らの処分の量定には反映されていません。安全に関する通知を守らず重大事故に至ったとしてもなんらお咎めがなかったということです。

 ” 過去も現在もこれからも、県教委から出される通知は体裁上だけの建前であり、教諭らはそれらの通知を守る必要がない ” というメッセージを、この処分を通じて教育長は発信したということです。
 こんなことではこれからどんな立派な再発防止策ができたとしてもすぐに風化し、守られなくなります。結果、何年後になるかはわかりませんが、再び同様の事故が起こってしまうことになるでしょう。

 県教委は処分量定に反映しなかったことからしてもこの通知が守られなかったことを問題視していないようです。この問題視していないことが問題だと私たち遺族は考えています。県教委は、県教委から出された通知を守らなくても問題がないのだと自ら認めていることになります。それでも平成30年3月22日の通知のように、再発防止策を通知で徹底しようとしているという自己矛盾があり、制度設計から破綻しています。
 

問題の周知は…

 この問題、いくつかの新聞やテレビに取り上げていただきました(フジテレビとちぎテレビ下野新聞、朝日新聞)。しかし、まだ一般の方には広く周知はされていないようです。少しでも周知できるよう、繰り返し発信していきたいと思います。
 この問題が周知され、今後は通知が守られず事故に至った際の処分規定を明確にするなど、生徒の安全を守るしっかりとした制度設計に結び付けられたらと願っています。

以下に、必携本がどのようなものか示します。

教育関係職員必携

 教育関係職員必携と題された本はどのようなものなのでしょうか。
 第一法規株式会社のホームページには以下のような商品説明が記載されています。2~3年に一度改訂され、最新版が発行されるようです。

■商品概要
本書は、教育関係職員の日常の執務に関し、必要が高いと思われる教育関係の法令及び例規はもとより重要通知までを「栃木県編」、「国法編」に分けて、1冊に収録したものであり、直近2年の重要法令の改正を内容補正して発行しています。
■商品の特色
前回版に必要な改正を行うとともに、その内容を充実させております。特に重要な法令及び他の法令と関係性の高い法律については、条文を掲載しています。
学校の管理運営、教職員研修、教育行政上の実務や会議等での格好の「必携書」として広くご利用いただけます。

 実際の本はどのようなものかというと、濃い赤いカバーで覆われた辞書のような本です。
 以下の写真は教員だった遺族の方からお借りした必携本です。

 お借りした必携本は平成20年版なので、タイトルの末尾に「20」と記されています。販売されている最新版は平成28年版で末尾に「28」と記されています。
 以降の写真はすべて平成20年版の必携本のものですが、問題となっている通知は最新の平成28年版にも記載されていることが確認されています。


 その中に「冬山登山の事故防止について」の通知がしっかりと記載されています。
冬山登山の事故防止について

学校登山についても

 また、学校行事としての登山に関する通知も別頁に記載されています。


 学校行事としての通知にも件の通知が言及されています。いかに学校の登山活動がこの通知を基に実施する前提となっていたのかがうかがい知ることができます。

 


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