遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

2017年3月27日に発生した那須雪崩事故の遺族・被害者の会のホームページです。

那須雪崩事故は死亡者8名、重軽傷者40名の学校管理下では最大級の事故でした。

那須雪崩事故について

再発防止策に対する質問書 XII.教員の処分規定の見直しについて

再発防止

 那須雪崩事故を受けて栃木県教育委員会が策定している再発防止策は不明な点が多く、未だに方針も実施状況も明らかになっていないものがほとんどです。内容の説明も、7月5日に開催された説明会で説明されたものが唯一です。
 
 そのため、再発防止策の方針や実施状況を明らかにするために、遺族・被害者の会より質問書を提出して栃木県教育委員会とやり取りをしています。

 質問の内容は「組織体制」や「説明会の開催」や「処分規定」についてなど、12項目にわたるものになっています。(12項目の内容はこちら
 8月10日に1度目の質問書を、11月12日に2度目の質問書を教育委員会に提出いたしました。2度目の質問書は現在回答待ちの状態です。

 回答は心無いものが多く、まだまだ再発防止策の意図を理解するには程遠いです。しかし、栃木県教育委員会の再発防止に対する考え方や意図がわかるまで質問を繰り返すつもりです。 

 そのやりとりの内容を項目ごとに何度かに分けて投稿させていただきます。

 今回は「教員の処分規定の見直しについて」の質問とその回答のやり取りを投稿いたします。

回答から感じること

 那須雪崩事故に対する引率教員らの処分は、最大でも停職5か月というものでした。8名の命を奪い、50名近くの生徒・教員らの命を危険にさらしたことに対する処分としては不当に軽いものであると言わざるを得ません。

 この処分の基準と妥当性についても質問いたしました。
 回答は、「同様の事故による処分事例がなく」「総合的な判断により処分を決定いたしました」とのことでした。 同様の事故がないからこそ、今後の学校管理下で事故があった際にどのような基準で処分を実施したのか明確にする必要があるはずです。基準が示されないまま「総合的な判断」との説明のみで済ませるのであれば、栃木県教育委員会は身内に対して甘い体質の組織であるとの非難は免れないでしょう。

 甘い処分で、今後同様の事態に陥った場合の処分の基準も示すこともなく、責任の所在をあいまいなまま放置する栃木県教育委員会の良識を疑います。

質問 XII.処分規定の見直しについて 

質問-58 処分規定見直しの進捗について

遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問-58】
処分規定見直しの進捗をお知らせください。
栃木県
教育委員会
現在検討を進めているところです。
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問58-1】検討が完了する時期をお知らせください。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)

質問-59 処分規定見直しの論点について

遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問-59】
進捗が思わしくない場合は、何が論点となり遅くなっているのかお知らせください。
栃木県
教育委員会
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会

【質問59-1】進捗を引き続きお知らせください。

質問-60 通知やルールを守るための制度設計について

遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問-60】
今回の事故では、スポーツ庁や県教委からの通知が無視され、「講習会だから」という理由で登山計画審査会の審査も免れてきました。この反省に立ち、県教委は顧問の教諭らに通知やルールを守らせるための制度設計をどのように考え、今後どのように変えていこうとしているのか教えてください。
栃木県
教育委員会
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問60-1】処分規定見直し以外に通知や規則を守らせるための方策があれば提案お願いいたします。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)

質問-61 定年退職者への処分について

遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問-61】
事故直後に定年となった大田原高校校長には何ら処分が下されていません。また、今回の事故から処分に至るまではおおよそ1年の時間を要しています。これらのことから定年1年前になるとこのような重大事故が発生しても管理職はなんら責任をとる必要はないことが示唆されています。
言い換えると定年までの期間が1年を切ると、管理職は無責任な判断を繰り返しても問題はないということが今回の事故で明らかになったと考えられます。
今後同様の事態となった場合を想定し、定年間近の管理職に責任を持った判断を求めるためにどのように対処されるつもりなのか教えてください。
栃木県
教育委員会
管理職に対しては、研修や会議等において今まで以上に意識の向上を促していきます。
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問61-1】
今後、今回の事故と同様に年度末に不祥事や事故が発生した場合、年度末で定年される校長など管理職に対してどのように対処されるか具体的に教えてください。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)

質問-62 処分量定の妥当性について

遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問-62】
改めて今回の事故に対する処分量定の決定根拠を教えてください。
交通事故による懲戒処分では、飲酒運転以外の交通事故であっても、人を死亡させるまたは重篤な傷害を負わせた場合には免職とする規定があります。この量定を基準とし、8名死亡という重大な結果を勘案するならば「免職」とすべきはずで、今回の処分は軽すぎると考えられます。
この交通事故の処分量定と照らし合わせ、また今回の8名死亡といった重大な結果も併せて処分量定の妥当性を説明してください。
栃木県
教育委員会
同様の事故による処分事例がなく、他の事例と比較することはできないため、内容を精査し、十分な検討をした上で、総合的な判断により処分を決定いたしました。
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
今回の処分について、誠意をもって説明するつもりがないことを理解いたしました。
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
今回の事故は検証委員会でも結論づけられたとおり「予見可能」な事故であり、予見できた結果を漫然と見過ごした重過失に当たると考えられます。重過失は通常故意と同視されるものですから、この処分は不当に軽すぎると考えられます。
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問62-1】
再度質問いたします。
今回の8名死亡といった重大な結果も併せて処分量定の妥当性を説明してください。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問62-2】
懲戒処分の量定の決定に当たっては以下のことを考慮するように基準では示されております。
今回の事故では1.~5.それぞれについて栃木県教育委員会はどのような認識であるのか教えてください。

1. 非違行為の動機、態様及び結果の程度
2. 故意又は過失の程度
3. 非違行為を行った教職員の職責の程度
4. 児童生徒、保護者、他の教職員及び地域社会に与えた影響の程度
5. 過去の非違行為歴

栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)

回答に対する意見 XII.処分規定の見直しについて 

処分の軽さ

 責任の所在を追及する場ではないとの方針の基、検証委員会の検証は実施されました。そういった中にありながらも、「引率した教諭らは生徒らを雪崩や滑落の危険にさらすことについて認識し得たはずであり、予見可能性があったものと考えられる。」と結論づけられています。また、「高体連(講習会主催者)及び登山専門部(講習会主管者)のほか、県教育委員会、講習会に生徒を参加させた各高等学校には、組織管理上の観点から、生徒に対する安全配慮に係る十全の措置が求められていたものと考えられる。」とし、組織としての安全配慮義務の不履行について言及されています。
 そういった指摘にも関わらず今回の事故に対する懲戒処分は、最大でも停職5ヶ月というものでした。また、県教委の担当課課長や校長に対する処分は文章訓告とされ、組織としての処分も軽微なものとなっています。
 8名もの命が失われるような過失を犯しても、誰も責任を取ることもなく、現場の責任者も引率した顧問も停職が明ければ元の生活に戻ることができます。最高責任者である教育長も辞職することなく給与10分の1を自主返納という軽い処分のみで職に留まっておられます。

今回の事故は重過失、重過失は「故意」と同視すべき

 処分が免職ではなく、より軽い処分である停職で済んだ理由はこの事故の原因が「故意ではない」からということでした。しかし、今回の事故は検証委員会でも結論付けられたとおり「予見可能」であり、予見できた結果を漫然と見過ごした重過失に当たると考えられます。重過失は通常故意と同視されるものですから、この処分結果は不当に軽すぎます。

命が粗末に扱われている

 この処分結果から、全国の教育現場の生徒の安全に対する意識や緊張が高まるどころか、逆に緩んでしまったことだろうと感じます。それは私たちの息子の命が粗末に扱われ、この世にいなかったことにされてしまうことと同義です。

処分の妥当性の欠如と身内に甘い体質

 質問書ではこの処分の基準と妥当性についても質問いたしました。回答は、「同様の事故による処分事例がなく」「総合的な判断により処分を決定いたしました」とのことでした。 同様の事故がないからこそ、今後の学校管理下で事故があった際にどのような基準で処分を実施したのか明確にする必要があるはずです。基準が示されないまま「総合的な判断」との説明のみで済ませるのであれば、栃木県教育委員会は身内に対して甘い体質の組織であるとの非難は免れないでしょう。

処分規定の見直しが必須

 この処分そのものの見直しも要望いたしますが、今後教育現場の生徒の安全に対する意識と緊張感を高めるためには処分規定の見直しが必須であると考えます。安全に関する通知を守らない、またはマニュアルにある安全確認を怠たり重大事故を発生させ生徒を死に至らしめた場合の処分を免職とし、処分規定に明確に記載すべきです。

定年退職者に対する処分への対策

 また、事故直後に定年退職されたため、高体連会長、大田原高校校長に対する処分がなされなかった点について、今後同様の事態となった際に管理職にどのように責任を求めるのかといった点も質問いたしました。 その回答からは今後も定年間近の管理職の処分についてなんら対策は行わず、今後も責任を求めることをしない姿勢が明らかになりました。

 これでは、定年まで1年を切った学校長などの管理職は、生徒の安全に気を配ることもなく、無責任な判断を繰り返すことになるでしょう。重大な事故が発生した場合は、定年間近であってもきちんと責任がとれるよう、退職金支給の保留や遡っての処分の適用などの対応をとることが、今後の生徒の安全に責任をもってもらうためには重要なのではないでしょうか。

制度設計がないままの再発防止は納得できない

 昭和41年の通知「冬山登山の事故防止」は風化し、守られることなく事故は発生いたしました。その事故の再発防止として「通知」や「ガイドライン」、「マニュアル」を整備しますとだけ言われて納得できるわけがありません。しっかりと現場教師や管理職にルールを守らせるための制度設計をつくっていただくことこそ、本当の再発防止になると信じています。

質問と回答のまとめ

再発防止策に対する質問書とその回答書
番号 質問書 回答書
1 2018.8.10提出
7月5日説明会への質問書
2018.9.20回答
「7月5日の説明会に対する質問書」に対する回答について
別紙 7月5日の説明会に対する質問書への回答(62項目)
2 2018.11.12提出
再質問書
再質問(別紙)
2018.12.14までの回答を要望中
栃木県教育委員会からの回答待ち

説明資料

再発防止策の説明資料
番号 説明会 説明資料
1 2018.7.5
再発防止説明会

資料1:
那須雪崩事故を教訓とした学校安全のための取組

資料2:
「那須雪崩事故を教訓とした学校安全のための取組」平成30(2018)年度進行(予定)表

資料3:
「那須雪崩事故を教訓とした学校安全のための取組」に掲げられた事業内容等について

全項目の質問まとめ

質問のやり取りの記録
番号 項目 質問
I. 再発防止策全般について 質問-1 再発防止策の考え方について
質問-2 部活動の在り方について
質問-3 マニュアルを守るための制度設計について
質問-4 専門家や父兄からの意見
質問-5 雪崩事故対策について
II. 再発防止策の説明会について 質問-6 これまで説明会を開催しなかった理由について
質問-7 遺族・被害者からの意見を聞かない理由について
質問-8 顧問教諭らへの説明について
質問-9 高校生徒らへの説明について
質問-10 父兄らへの説明
質問-11 今後の説明会実施の予定
質問-12 説明会が必要ない理由について
III. 県教委の組織体制について 作成中 近日投稿予定
IV. 高体連の組織体制について 作成中 近日投稿予定
V. 連絡協議会について 作成中 近日投稿予定
VI. 顧問の資質について 作成中 近日投稿予定
VII. 登山アドバイザーの派遣について 作成中 近日投稿予定
VIII. 危機管理マニュアルについて 作成中 近日投稿予定
IX. 冬山登山の認識について 作成中 近日投稿予定
X. 雪上での活動・訓練について 作成中 近日投稿予定
XI. 登山計画審査会について 作成中 近日投稿予定
XII. 処分規定の見直しについて 質問-58 処分規定見直しの進捗について
質問-59 処分規定見直しの論点について
質問-60 通知やルールを守るための制度設計について
質問-61 定年退職者への処分について
質問-62 処分量定の妥当性について

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