遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

2017年3月27日に発生した那須雪崩事故の遺族・被害者の会のホームページです。

那須雪崩事故は死亡者8名、重軽傷者40名の学校管理下では最大級の事故でした。

那須雪崩事故について

高体連事故説明会

説明会

2月3日に大田原市某所で高体連の事故説明会が非公開で開催されました。

内容は「9月10日に遺族から提出した質問状への回答」と「登山専門部が作成した事故総括の説明」でした。当初4時間の予定でしたが、それだけで終わるわけもなく、7時間掛けても終わらず、再度説明会を開いてもらうことになりました。

今回は私たち遺族・被害者からの要請で、雪崩教育の専門家である中山建生先生(社団法人日本雪氷会雪崩分科会講師)に同席いただきました。専門家からの助言は貴重で、どうしても感情的になってしまう私たちの意見や高体連のおかしな対応に対して客観的で冷静な意見をいただけて大変ありがたかったです。

 

 2010年の雪崩事故に関して

説明に先立って同席していた教育委員会に対し、2010年の雪崩事故に対する説明会開催の要望を重ねて伝えました。
開催しないとの回答でしたが、説明会開催は遺族の強い要望であり、開催前提で回答を各家庭に文書で送付するようにお願いしました。

 

説明会で感じたこと

顧問の先生方や高体連への私の期待が小さいので、他の遺族とは考え方が少しズレているかもしれません。先生方への期待については後述します。
しかし根本にある思いは共通だと思っています。

登山専門部の事故総括の説明

ずっと求めていた登山専門部の事故の総括がようやく作成されました。本来なら昨年の夏前には作成されるべきものです。

事故の総括もなされずになぜ再発防止策に進むことができるのか、なぜ登山活動を再開できるのか、ずっと問い続けていました。

彼らはこの総括もないまま夏山登山を再開し、関東大会に選手を派遣しています。
この件に関しては未だに苛立ちをおさえることができません。

事故の総括の内容については、検証委員会の報告書をなぞったものが多く、ページ数が多いだけで、内容はそれほどとは感じられません。それでも今回時間切れで説明は次回に持ち越しになりましたが、問題点や今後の対応など登山専門部独自の考えがあるようです。
県教委や検証委員会に言われるがままで、ずっと事故から目を背けていた登山専門部が、ようやく事故を自分たちの目で見つめ、独自の思いや見解を持とうとし始めた兆しかもしれません。ここまで来るだけで10か月掛かっています。

文章の記述や当時の状況についての踏み込みや調査はまだまだ不足しています。
2010年の雪崩事故について書かれた箇所について遺族・被害者から多くの質問を投げかけました。そうすると、当時その講習に参加されていた先生からいろいろな証言やその時の思い、反省が述べられました。
総括に載せて欲しかったのはまさにそのような思いです。検証委員会で書かれたことをなぞって体裁の立派な報告書にしてほしいわけではありません。事実関係だけでなく、現場の目線からしか見ることができないその思いを記載して総括しないことには、反省も再発防止もありません。

質問状への回答

事故当時の心情や判断の根拠への踏み込みを期待して投げかけた質問に対する回答としては、簡潔すぎで、抽象的な内容でした。

冬山登山や春山安全登山講習会について見解を求めた質問に対しては、登山専門部から「冬山登山は実施しない」との意思が示されました。

意思もないまま再発防止策を進めようとしていることに対する苛立ちをずっと感じていたので、ようやく第一歩は示してもらえたと思います。
ハードルは低いですが、その点だけは評価したいと思います。もっと早く意思を表明し、その意思を基に再発防止策を策定してほしかったものです。これを基に、「残雪期の登山はどうする」「冬山登山を実施しない中での雪崩教育はどうするべきか」とか、議論が進むことを期待します。
毎年5月に実施していたインターハイ予選も、残雪がなくなるであろう6月にずらし、山域も選んで実施する意向であると言われました。それで十分かどうかは私には判断できませんが、意思があれば議論を進めることはできるはずです。

私の考え

高体連や顧問の先生方に対する期待

私は事故を起こした高体連や先生方に対してもはや大きな期待を抱いておりません。

今までの説明会や弔問などを通じて得られた彼らとのやり取りは、私を失望させ、私の先生方への期待の心をへし折るには十分すぎるものでした。8名もの生徒・教師が命を落とす重大事故に引き起こしながら、彼らはどこまでも他人事のような捉え方しかできず、自分のこととして事故に向き合っている様子を感じることはできませんでした。

この先も彼らが心を入れ替えて正面から事故に向き合い、しっかりとした再発防止策を作ることは、もうあり得ないことだと思っています。

それでも出来る限り事故に向き合ってもらい、どうすればよかったのか、これからどうすべきなのかを真剣に考えてもらいたいです。
この先もそうなるようにできる限り声を上げ続けていきます。

しかし、その心意気だけでは5年後10年後にはこの事故は忘れ去られ、何事もなかったことになってしまうでしょう。

教育界という異常な世界

教育界は異常な世界です。

これだけの事故を起こしていながら誰も責任を取ることもなく、そのままのポストに居座り続けることができます。

なぜそんなことが許されるのでしょうか?

一般的な企業であれば、重大な事故を起こせば責任問題に発展し、責任者や企業のトップは辞任に追い込まれることでしょう。
辞任することなく居座り続けると、企業は消費者や取引相手からの信頼を失い、存続できなくなります。そのため、企業は存続をかけ、キッチリとケジメをつけやり直そうとする自浄作用が働きます。

それに対して教育界はどうでしょうか?

これほどの事故を起こしたからといって、栃木県の県立高校への志願者が減るということにはなりません。きっと大田原高校の志願者が減るという話にもならないでしょう。せいぜい山岳部の入部希望者が減るぐらいです。

これだけの事故を起こしておきながら、先生方は何一つ困りません。

騒ぎ立てる私たち遺族や被害者の相手だけが唯一困ることでしょうが、それも聞き流せばいいだけです。

どう考えてもこの世界に自浄作用はなく、異常です。
高体連という組織も、学校とは別組織にし、部活動での事故に対して自分たちに責任が及ばないようにするためにある組織に思えます。

こういったことが、これだけの重大事故を起こしても先生方が自分のことと捉えることなく、他人事とみてしまう根本の原因だと思い至りました。

事故に対する処罰規定の要望

今後このような事故が起こった場合にはキッチリと責任者にも処罰が及ぶような仕組みを作っていただきたい、今回の説明会で私はその仕組みの構築をお願いしました。
そうでなければどんなに立派な再発防止策を作ったとしても、先生方が緊張感を持ち、生徒の安全を第一に考えることはないでしょう。

今回の説明会の中でも登山や講習で予定変更がある場合、現場で判断するだけではなく、専門部長などの責任者の判断を仰ぐことが再発防止の一つとして述べられていました。しかし、専門知識もないお飾りの役職である専門部長が、無責任に判断することに何の意味があるでしょうか?何も考えずに現場の決定を追認するだけになるのは容易に想像できます。

万が一事故が発生した場合、自分の進退に関わるような処罰があると頭をよぎる時のみ、彼らは責任のある判断ができるのではないでしょうか。

事故が発生した今回の講習会は、当時の登山専門部長が開催の決済をしています。
このような重大な事故が発生したにも関わらず、その決済をした責任者である専門部長になにかしら処分が下ったというと話はありません。当時の専門部長本人に確認したので間違いありません。もし当時、明確な処罰規定があったなら、前日からの大雪の状態を見て専門部長からの講習会中止要請などの判断もあり得たのではないでしょうか。さらにもっと遡って、しっかりと計画段階からのチェックがなされていたのではないでしょうか。

今後も再発防止策としての処罰規定策定の要望は続けるつもりです。
説明会でも繰り返し述べたつもりですが、どこまで聞いてもらっているかわからないので、後日書面で要望しようと考えています。

この要望は遺族としての処罰感情が先走っていることは否定しません。
しかし、その感情を抜きにしてもしっかりとした処罰規定を残すことが真に実効性のある再発防止策になると信じています。


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