栃木県教育委員会は、障害者雇用の制度を拡大解釈し、障害者雇用数を水増ししていたと発表しました。全国最低の雇用率となった翌年度の12年度以降水増しを実施し、常態化していたそうです。
(2018年8月23日下野新聞)
「全国ワースト」が一因 障害者雇用栃木県教委水増し 不正、組織ぐるみは否定
障害者雇用、栃木県教委も数十人水増し 休職職員手帳なしで「精神障害」
水増しの是非を議論できるような知識もなく、そのような立場でもないのでそういった点については言及いたしません。しかし、「制度を拡大解釈」という点に栃木県教育委員会の根深い体質を感じます。
拡大解釈
全国最下位に転落した障害者雇用を充実させるという本質的な努力ではなく、言葉の解釈を自分たちに都合のよいもの変更し、本質から目をそらす栃木県教育委員会の根深い体質を感じます。
冬山登山の拡大解釈
同様に論ずるべきではないかもしれませんが、栃木県教育委員会の冬山登山に関する見解も同じような拡大解釈を感じます。
那須雪崩事故を受けてスポーツ庁で開催された「高校生等の冬山・春山登山の事故防止のための有識者会議」において、冬山登山とは以下のように定義されています。
(スポーツ庁ホームページ 高校生等の冬山登山の事故防止のための方策について(概要)より)
そして、高校生等の冬山登山は原則禁止としています。
ところが栃木県教育委員会は 「冬季を中心に断続的な降雪等により雪が相当期間堆積する時期を積雪期と言います」という難解な「積雪期」に関する定義を持ち出し、冬山登山を「積雪期にある山への登山」として独自の解釈をしています。この定義はスポーツ庁で定義された冬山登山とは全く異なるもので、拡大解釈としか思えません。
さらに「積雪期にある山への登山である冬山登山」は認めないものの、冬季であっても「低山等の積雪期にない山への登山」は時期に関わらず冬山登山ではないとして認めることを決定しました。
「低山の定義や登山可能の時期」「高校生の部活動で冬山登山を実施する意義」について議論することなく、冬山登山の定義を拡大解釈するだけで栃木県教育委員会は冬季の登山活動を再開しようとしています。事故時にも「1,500m以上の山への登山は登山計画審査会の審査を経ること」という規則があったにも関わらず、「講習会は登山ではないので審査は不必要」という拡大解釈によって審査をすり抜け、事故に至っています。何を反省されてこのような決定に至ったのでしょうか。
言葉の定義を拡大解釈し、本質的な改善の努力を怠るのは、栃木県教育委員会の根深い体質であることを今回の報道から改めて感じました。
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