那須雪崩事故を受けて栃木県教育委員会が策定している再発防止策は不明な点が多く、未だに方針も実施状況も明らかになっていないものがほとんどです。内容の説明も、7月5日に開催された説明会で説明されたものが唯一です。
そのため、再発防止策の方針や実施状況を明らかにするために、遺族・被害者の会より質問書を提出して栃木県教育委員会とやり取りをしています。
質問の内容は「組織体制」や「説明会の開催」や「処分規定」についてなど、12項目にわたるものになっています。(12項目の内容はこちら)
8月10日に1度目の質問書を、11月12日に2度目の質問書を教育委員会に提出いたしました。2度目の質問書は現在回答待ちの状態です。
回答は心無いものが多く、まだまだ再発防止策の意図を理解するには程遠いです。しかし、栃木県教育委員会の再発防止に対する考え方や意図がわかるまで質問を繰り返すつもりです。
そのやりとりの内容を項目ごとに何度かに分けて投稿させていただきます。
今回は「再発防止策の説明会について」の質問とその回答のやり取りを投稿いたします。
回答から感じること
再発防止策の説明は自分たちの役割とは思っておらず、遺族や保護者、生徒、専門家らから意見を聞くつもりもない栃木県教育委員会の頑なな姿勢が回答によって浮き彫りになったと考えます。
これだけの重大事故を発生させた責任を感じておられるのであれば、遺族・被害者のみならず広く生徒・保護者・県民に向けて再発防止策の内容を説明し、意見を聞くべきです。
質問 II.再発防止策の説明会について
質問-6 これまで説明会を開催しなかった理由について
これまで遺族らの要望にも関わらず説明会を開催しなかった理由、説明会が必要ないと考えられた理由を教えてください。
教育委員会
教育委員会
質問-7 遺族・被害者からの意見を聞かない理由について
再発防止策の策定にあたって、県教委から遺族・被害者の意見を聞く機会は設けられませんでした。なぜ意見を聞かなかったのか、聞く必要がなかったのか、理由を教えてください。
教育委員会
質問-8 顧問教諭らへの説明について
顧問の教諭らに県教委から再発防止策をどのように説明しましたか。
また、その際に顧問の教諭らからはどのような意見がありましたか。
教育委員会
・民間の講習会を受講する場合にも、県からの補助はお願いできないか。
・高校総体に向けた下見の日程にあわせて、顧問の研修会を開催してもらえると多くの顧問が参加できる。
・新任登山研修会には、新任顧問だけでなく、経験の少ない顧問なども参加できるようにお願いしたい。
【衛星携帯電話レンタル事業】
・衛星携帯電話よりトランシーバーの方が、機能性が高いと思われるため、トランシーバーの貸出しはできないか。
【登山アドバイザー】
・南北アルプスなど、山域ごとのアドバイザーを紹介してもらえる団体等の連絡先を取りまとめてほしい。
・顧問によってはアドバイザーとの連絡調整が難しいため、事務局でアドバイザーを紹介するスキームにできないか。
・アドバイザーについては、県外の方より今後のことを考えると県内の方と協力すべきと考えるため、県山岳・スポーツクライミング連盟のアドバイザー候補を取りまとめてほしい。
今回の再発防止策は山岳部だけにとどまらず、学校安全全体に関するものであると県教委は宣言されています。
山岳部だけでなく、そのほかの部活の顧問や生徒へは再発防止策をどのように説明されたのでしょうか。
教育委員会
(2018.12.14回答要望)
質問-9 高校生徒らへの説明について
高校生の生徒らに県教委から再発防止策をどのように説明しましたか。
また、その際に生徒らからはどのような意見がありましたか。
教育委員会
教育委員会
教育委員会
教育委員会
ホームページへの掲載は具体的にどの項目になりますか。WEBページのアドレスをお知らせください。
教育委員会
(2018.12.14回答要望)
春山安全登山講習会に参加し、生還した被害生徒らに、今後も登山活動を継続することをどのように説明されましたか。
教育委員会
(2018.12.14回答要望)
同級生らが亡くなった大田原高校の生徒らには再発防止策をどのように説明されましたか。
教育委員会
(2018.12.14回答要望)
質問-10 父兄らへの説明
父兄らに県教委から再発防止策をどのように説明しましたか。
また、その際に父兄らからはどのような意見がありましたか。
教育委員会
雪崩事故後にも登山活動を継続することを県教委の指示を受けた顧問が保護者らにどのように説明されましたか。説明資料を提示してください。
教育委員会
(2018.12.14回答要望)
質問-11 今後の説明会実施の予定
県教委から顧問、生徒や父兄らに説明を実施していないとしたら、それらを説明する説明会などの予定はありますでしょうか。
教育委員会
生徒や保護者らが十分に納得されたことを確認して登山活動継続の判断をされたのでしょうか。保護者が納得されたと判断した根拠をお知らせください。
教育委員会
(2018.12.14回答要望)
質問-12 説明会が必要ない理由について
もし、説明もなく、説明会の開催予定もないのであれば、なぜ説明が必要ないと考えられましたか。理由をお聞かせください。
教育委員会
昨年の7月、事故後たった3ヶ月で栃木県下の高校の登山活動は再開されました。
その時点では検証委員会の検証も終了しておらず、高体連や県教委の組織的な問題点も挙げられていました。再開にあたっての再発防止策の説明もありませんでした。
そのような状況の中、なぜ、事故後の登山再開を急がれたのでしょうか。拙速に登山活動を再開された理由を教えてください。
教育委員会
(2018.12.14回答要望)
回答に対する意見 II.再発防止策の説明会について
再発防止策の説明は県教委の役割ではないのか
質問に対する回答では、再発防止策の説明について県議会や予算特別委員会等の公の場での議論を経て決定していると述べられています。
しかしながら、遺族や被害者、生徒や保護者に対する説明は県教委の役割ではないと考えられていることも読み取れます。また、遺族や保護者からの意見を聞くつもりもなかったことも明確になったと思います。
なぜ要望に応えていただけなかったのでしょうか
説明会については遺族・被害者からこれまでに3度開催を要望し、ようやく7月5日に県教委主催の説明会を実施していただきました。なぜこれまで要望を聞いていただけなかったのでしょうか。
その答えは今回頂いた回答からも読み取れませんでした。再発防止の説明を聞くのは、遺族・被害者の当然の権利だと考えるのですが。
広く生徒、保護者、県民に向けて説明すべき
検証委員会の提言には「亡くなられた7名の生徒と1名の教員の御遺族やけがをされた方々及びその御家族を始め多くの人々に向けて改善策の進展状況を公表し、」とあります。その精神に基づくならば、策定された再発防止策は遺族・被害者だけでなく、部活動の顧問の教諭ら、学校生活を営んでいる生徒とその保護者、さらには広く県民に向けて説明し、納得してもらうべきだと考えます。
これだけの重大事故を発生させた責任を感じておられるのであれば、遺族・被害者のみならず広く生徒・保護者・県民に向けて再発防止策の内容を説明し、意見を聞くべきです。ホームページでの周知だけでは不足です。
質問と回答のまとめ
再発防止策に対する質問書とその回答書
番号 | 質問書 | 回答書 |
---|---|---|
1 | 2018.8.10提出 7月5日説明会への質問書 |
2018.9.20回答 「7月5日の説明会に対する質問書」に対する回答について |
2 | 2018.11.12提出 再質問書 再質問(別紙) |
2018.12.14までの回答を要望中 栃木県教育委員会からの回答待ち |
説明資料
再発防止策の説明資料
番号 | 説明会 | 説明資料 |
---|---|---|
1 | 2018.7.5 再発防止説明会 |
資料1: 那須雪崩事故を教訓とした学校安全のための取組 |
全項目の質問まとめ
質問のやり取りの記録
番号 | 項目 | 質問 |
---|---|---|
I. | 再発防止策全般について | 質問-1 再発防止策の考え方について 質問-2 部活動の在り方について 質問-3 マニュアルを守るための制度設計について 質問-4 専門家や父兄からの意見 質問-5 雪崩事故対策について |
II. | 再発防止策の説明会について | 質問-6 これまで説明会を開催しなかった理由について 質問-7 遺族・被害者からの意見を聞かない理由について 質問-8 顧問教諭らへの説明について 質問-9 高校生徒らへの説明について 質問-10 父兄らへの説明 質問-11 今後の説明会実施の予定 質問-12 説明会が必要ない理由について |
III. | 県教委の組織体制について | 作成中 近日投稿予定 |
IV. | 高体連の組織体制について | 作成中 近日投稿予定 |
V. | 連絡協議会について | 作成中 近日投稿予定 |
VI. | 顧問の資質について | 作成中 近日投稿予定 |
VII. | 登山アドバイザーの派遣について | 作成中 近日投稿予定 |
VIII. | 危機管理マニュアルについて | 作成中 近日投稿予定 |
IX. | 冬山登山の認識について | 作成中 近日投稿予定 |
X. | 雪上での活動・訓練について | 作成中 近日投稿予定 |
XI. | 登山計画審査会について | 作成中 近日投稿予定 |
XII. | 処分規定の見直しについて | 作成中 近日投稿予定 |
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