遺族は納得していません。 通知が守られず事故が発生したこと、それが問題視されていないこと、そこに対策がないまま再発防止策が作られること。

2017年3月27日に発生した那須雪崩事故の遺族・被害者の会のホームページです。

那須雪崩事故は死亡者8名、重軽傷者40名の学校管理下では最大級の事故でした。

那須雪崩事故について

再発防止策に対する質問書 IX.冬山登山の認識について

再発防止

 那須雪崩事故を受けて栃木県教育委員会が策定している再発防止策は不明な点が多く、未だに方針も実施状況も明らかになっていないものがほとんどです。内容の説明も、7月5日に開催された説明会で説明されたものが唯一です。
 
 そのため、再発防止策の方針や実施状況を明らかにするために、遺族・被害者の会より質問書を提出して栃木県教育委員会とやり取りをしています。

 質問の内容は「組織体制」や「説明会の開催」や「処分規定」についてなど、12項目にわたるものになっています。(12項目の内容はこちら
 8月10日に1度目の質問書を、11月12日に2度目の質問書を教育委員会に提出いたしました。2度目の質問書は現在回答待ちの状態です。

 回答は心無いものが多く、まだまだ再発防止策の意図を理解するには程遠いです。しかし、栃木県教育委員会の再発防止に対する考え方や意図がわかるまで質問を繰り返すつもりです。 

 そのやりとりの内容を項目ごとに何度かに分けて投稿させていただきます。

 今回は「冬山登山の認識について」の質問とその回答のやり取りを投稿いたします。

回答から感じること

 栃木県教育委員会の冬季の登山実施に対する方針は、「積雪期にある山への登山である冬山登山」は認めないものの、「低山等の積雪期にない山への登山」は認めるというものでした。
 「積雪期」、「低山」とは一体何なのでしょうか?定義もあいまいで、例外や抜け道を許容するいい加減な表現で規則を定め、そのいい加減な規則を根拠として冬季の登山を実施する栃木県教育委員会の姿勢を許容することができません。

 顧問教諭らが、「講習会」だからという長年の例外規定の隙をついて危険な斜面に入り込んでしまった今回の事故の教訓を感じられているとはとても思えません。
 もし、事故の教訓を感じられているのであれば、このようないい加減であいまいな定義で冬季の登山を実施するなどと言えるわけがありません。

質問 IX.冬山登山の認識について 

質問-40 冬季の登山実施の意義について

遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問-40】
危険性が消えない中、高校の部活動に於いて冬季に登山を実施する意義はなんだとお考えでしょうか。どうしても必要なものなのでしょうか。
栃木県
教育委員会
高校生が、四季折々の中での登山活動を通じ、知識や体力、精神力を養い自己研鑽に努めるだけでなく、仲間たちとの結束力を高め、達成感や克服感等を共感、共有していくことが登山活動の意義として挙げられると思っております。
栃木県
教育委員会
ただし、無条件に登山の実施が認められるものではなく、安全を第一に実施していくことが大前提となりますので、少なくとも学校教育活動において実施する上では、山域、季節、登山形態等、その活動範囲に一定の限界や制限は付すべきものと考えております。
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問40-1】
回答は冬季以外も含めた登山活動全般の意義を述べられていると判断できます。
冬季の活動でなければ達成できない意義はなんだとお考えなのか教えてください。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)

質問-41 「積雪期の認識」について

遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問-41】
県教委は「積雪期」を質問の回答の中で「冬季を中心に断続的な降雪等により雪が相当期間堆積する時期を積雪期と言います」と定義されています。
登山の素人である県教委が独自に定義された訳ではないと思います。この定義はどこから持ってきたものでしょうか。またそれはどなたがどういった観点・根拠から定義されたものなのでしょうか。
栃木県
教育委員会
積雪期をより分かりやすく説明したものであり、ガイドラインの策定作業に当たり県教委が表現したものです。
なお、冬季ではあっても積雪期の状態にない山での登山については、先(【質問-40】) にお答えしました登山の意義・目的の達成に向け、安全を確保しながら実施し得るものとの登山計画審査会での議論や判断も踏まえ、冬山登山や雪上活動訓練とは異なり、今後においても認めるものとしたものです。
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問41-1】
「より分かりやすく」とありますが、内容が複雑で理解できません。
なぜ登山の素人である県教委が「積雪期」を定義できるのか教えてください。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問41-2】
雪崩の専門家から「積雪期」の定義を聞いていただき、専門家が言われたその定義を教えてください。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)

質問-42 冬季の登山の決定プロセスについて

遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問-42】
積雪の定義と同様、登山の素人である県教委が単独で冬季登山の決定を下せるとも思えませんし、そうすべきでないと考えます。
誰がどのように議論して冬季の登山を決定したのか教えてください。またその議論内容も教えてください。
栃木県
教育委員会
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
冬季の登山を部活動として実施することについては、きちんと審議会等を立ち上げ、県教委が外部専門家等に諮問し、その答申を得て判断すべきであると考えます。
登山改革審査会で議論したり、ガイドラインの中で決定すべき案件ではありません。
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問42-1】
どのようなメンバーで、どのような議論を実施し、どなたが冬季の登山を決定したのか教えてください。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)

質問-43 「積雪期」にある山の定義について

遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問-43】
県教委が言われる「積雪期」の定義から具体的に冬季に登れる山と登れない山をどのように定義するつもりなのか教えてください。
栃木県
教育委員会
冬季においても登山の実施を認める山は「積雪期の状態にない山」となりますので、基本的には降雪や積雪がない低山が対象となります。
なお、これらの低山であっても、降雪及び積雪がある場合においては、実施を認めないこととする考えでおります(【質問-44】)参照)。
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問43-1】
「低山」をどのように定義するのか教えてください。
山域とルートを示すなど、具体的な定義が必要かと思います。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問43-2】
 「積雪期の状態にない山」の定義を明確にし、示してください。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)

質問-44 冬季の登山の実施判断の基準について

遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問-62】
冬季の登山を実施するとして、当日の登山実施判断の基準とその手順をどのようにお考えになっているのか教えてください。
栃木県
教育委員会
冬季以外の登山においても悪天候の際は慎重な対応を求めることとしているところですが、特に、冬季における登山においては、「降雪及び積雪のある場合は登山自体を中止すること」とし、悪天候時の対応として県教委が方針を示し、ガイドラインに明記する方向で進めています。
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問44-1】
ガイドラインにはどのような拘束力があるのでしょうか。ガイドラインを守らないことで罰則などあるのでしょうか。
顧問らがガイドラインを守るための制度設計の考え方をお知らせください。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)
遺族・被害者の会
遺族・被害者の会
【質問44-2】
「積雪期」「低山」などという難解であいまいな定義を持ち出してまで冬季の登山を実施する必要があるのでしょうか。
どこかの学校から希望などがあるのであれば、具体的にその内容を教えてください。
希望がないのであれば、実施する必要性を教えてください。
栃木県
教育委員会
県教委回答待ち
(2018.12.14回答要望)

回答に対する意見 IX.冬山登山の認識について 

「低山等の積雪期にない山」とは???

 この説明会に先立って遺族よりした質問の回答の中で、冬季の登山活動の実施をすでに決定されているとの記述がありました。その記述は「積雪期にある山への登山である冬山登山」は認めないものの、「低山等の積雪期にない山への登山」は認めるというものでした。

 さらに今回の回答から「冬季を中心に断続的な降雪等により雪が相当期間堆積する時期を積雪期と言います」という難解な「積雪期」の定義は、専門家の意見を聞いた上で定めたものでもなく、登山の素人である栃木県教育委員会が独自に定義したものであることがわかりました。

何のために冬季に登山をするのでしょうか

 検証委員会の報告書の中では冬山を「12月から2月までの山」と定義するのが妥当とされています。また、「山岳地域においては12月から2月まで以外の時期であっても、降雪や気温などの気象条件次第で冬山と同様の状態になることも十分に予想される」とも言及されています。

 冬季に登山を実施すれば低山であっても積雪や降雪のある可能性はあり、冬山と同様の危険性は消えません。その上で検証委員会の定義とも異なるこのような難解な定義を持ち出してでも冬季に登山活動を実施する意義がわかりません。

顧問教諭らにどのように守らせるつもりなのでしょうか

 また、「低山」などといって例外規定をつけたとしてもそれを顧問教諭らが厳守する保証もありません。検証委員会の報告書の中にも『「冬山登山の原則禁止」としているにもかかわらず、あくまでも春山の講習会として実施することが、スポーツ庁通知に対する一つの逃げ道になっていた可能性も否定できない。』として、冬山登山の定義を自分勝手に解釈することを諫めている表現も見受けられます。

今回の事故の教訓を感じてください

 顧問教諭らが、「講習会」だからという長年の例外規定の隙をついて危険な斜面に入り込んでしまった今回の事故の教訓を感じられているとはとても思えません。もし、事故の教訓を感じられているのであれば、このようないい加減であいまいな定義で冬季の登山を実施するなどと言えるわけがありません。

いい加減な表現で例外や抜け道を許容しないでいただきたい

 今後、「積雪期にない」や「低山」といったあいまいで、例外や抜け道を許容するいい加減な表現はやめていただきたいと思います。私たち遺族の感情を逆なでする表現です。

 仮に冬季に登山するのであればあいまいな表現を明確にし、低山の定義をキッチリと山域を限定して決めるべきだと考えます。
 
 それができないのであれば冬季の登山は全面的に禁止すべきです。

質問と回答のまとめ

再発防止策に対する質問書とその回答書
番号 質問書 回答書
1 2018.8.10提出
7月5日説明会への質問書
2018.9.20回答
「7月5日の説明会に対する質問書」に対する回答について
別紙 7月5日の説明会に対する質問書への回答(62項目)
2 2018.11.12提出
再質問書
再質問(別紙)
2018.12.14までの回答を要望中
栃木県教育委員会からの回答待ち

説明資料

再発防止策の説明資料
番号 説明会 説明資料
1 2018.7.5
再発防止説明会

資料1:
那須雪崩事故を教訓とした学校安全のための取組

資料2:
「那須雪崩事故を教訓とした学校安全のための取組」平成30(2018)年度進行(予定)表

資料3:
「那須雪崩事故を教訓とした学校安全のための取組」に掲げられた事業内容等について

全項目の質問まとめ

質問のやり取りの記録
番号 項目 質問
I. 再発防止策全般について 質問-1 再発防止策の考え方について
質問-2 部活動の在り方について
質問-3 マニュアルを守るための制度設計について
質問-4 専門家や父兄からの意見
質問-5 雪崩事故対策について
II. 再発防止策の説明会について 質問-6 これまで説明会を開催しなかった理由について
質問-7 遺族・被害者からの意見を聞かない理由について
質問-8 顧問教諭らへの説明について
質問-9 高校生徒らへの説明について
質問-10 父兄らへの説明
質問-11 今後の説明会実施の予定
質問-12 説明会が必要ない理由について
III. 県教委の組織体制について 作成中 近日投稿予定
IV. 高体連の組織体制について 作成中 近日投稿予定
V. 連絡協議会について 作成中 近日投稿予定
VI. 顧問の資質について 作成中 近日投稿予定
VII. 登山アドバイザーの派遣について 作成中 近日投稿予定
VIII. 危機管理マニュアルについて 作成中 近日投稿予定
IX. 冬山登山の認識について 質問-40 冬季の登山実施の意義について
質問-41 「積雪期の認識」について
質問-42 冬季の登山の決定プロセスについて
質問-43 「積雪期」にある山の定義について
質問-44 冬季の登山の実施判断の基準について
X. 雪上での活動・訓練について 作成中 近日投稿予定
XI. 登山計画審査会について 作成中 近日投稿予定
XII. 処分規定の見直しについて 質問-58 処分規定見直しの進捗について
質問-59 処分規定見直しの論点について
質問-60 通知やルールを守るための制度設計について
質問-61 定年退職者への処分について
質問-62 処分量定の妥当性について

コメント

  1. 瀬下 より:

    登山のガイドをしています。いつもクライアントに言っています。山で遭難したくなかったら山に入るな。高かろうと、低かろうと、雪が着いていようと無かろうと、山は山です。マニュアルで何とかなるものではありません。
    極論すれば学校教育の中で登山はすべきではありません。学校登山には歴史的に軍事教練の臭いさえかんじられます。