熱中症対策について基準を設けるべき
無理をせず生徒の命を守るための施策として、部活動に於ける熱中症対策をどうにかして欲しいと県教委や高体連にずっと訴えかけてきました。
どんな真夏日であっても部活動が強行され、子供たちが熱中症で倒れるという事態が日常的に起こっています。「無理な時に無理をしている」ようにしか私には見えません。そう思うのは、熱中症を気に掛けることもなく、一日中締め切った体育館で部活動を実施し、何人もの生徒が倒れている実態を目の当たりにしているためです。
多少無理をすることはあってもいいことなのかもしれませんが、さすがに35℃に達するような真夏日には部活動も大会も、冷房のある環境以外の場所では活動を控えるべきかと思います。
一般的に35℃に達しようという真夏日には「今日はさすがに暑いから活動を控えよう」と言って、外出すら控えることが通常の感覚かと思います。しかし、部活動に於いてはこのような通常の感覚や常識は通用せず、「生徒のため」という言葉を旗印にして生徒たちの身体・生命を危険に晒すような行動を顧問教員たちは平気で行っています。
那須雪崩事故の反省を踏まえ、大会実施の安全を確保するために高体連によって作成されたはずの「危機管理マニュアル」にも熱中症対策についてはいい加減なことしか書いてありません。「危機管理マニュアル」の競技別のチェックシートには「熱中症指数を確認したか」とだけ記載があり、熱中症指数をチェックさえすればよいことになっています。これでは40℃になるような明らかに危険な環境であっても、熱中症指数をチェックし、大会主催者の主観だけで「安全だ」と判断すれば大会が実施できてしまいます。
主観で判断するのではなく、「熱中症指数31℃以上に達した場合は大会を中断する」「熱中症警戒アラートが出た日には大会を中止とする」といった具体的な基準を設けて、生徒の身体・生命をしっかりと守る必要があると考えられます。
コメント
「中止にすればよかったんだよ」読ませていただきました。学生時代から山岳部で経験をしてきた一登山愛好家として一言コメントいたします。当日の異常な積雪で茶臼岳登山を中止し歩行訓練に切り替えたことは正常な判断だと思います。若い高校生にとってスキー場のゲレンデで新雪のラッセル訓練は得難い経験の場になったと思います。ファミリースキー場のゲレンデ内であれば若い高校生のエネルギーを思い切りラッセル訓練にそそぐいい機会でした。問題はラッセル訓練の場所の指定を明確にしなかったこと、何をどこでするか明確な指示を集団に出さなかったこと、だと思います。ずるずると斜面の上まであまり考えずに行ったことが致命的でした。登山、特に積雪期の登山は天候に大きく左右されるのは常識です。それにどのように対応するかでパーティーの力量が問われます。積雪があったから登山を中止という姿勢では登山の技術や経験のレベルは上がりません。その場の状況に応じて安全に訓練を続行できる経験、ノウハウ、判断力がリーダーには求められます。集団を引率した教師の皆さん、特に中心的存在であった2名の教師の方には残念ながらその判断力がなかったと言わざるをえません。
コメントありがとうございます。
>「当日の異常な積雪で茶臼岳登山を中止し歩行訓練に切り替えたことは正常な判断だと思います。」
この訓練を登山行動として見て、この事故を山岳事故と捉えるならば、その通りだと言えるのでしょう。
リーダーであった講師の力量が足りなかったことが問題であり、訓練を実施したこと自体には問題はなかったと言えるのでしょう。
危険性は認識していたはずですが、なぜ行動範囲を決定せず曖昧にしたのか、なぜずるずると行動してしまい途中で止まることができなかったのか、なぜ講師は的確な指示は出せなかったのかといった点が問題であったとなります。
登山経験者の方はこの切り口でこの事故を語られることが多いように感じます。
那須雪崩事故検証委員会の報告書の結論もこの言い方に近く、再発防止策としてリーダーである教員の力量を高めることを求めています。
また、別の切り口で、この訓練を講習会として認識した場合、異なった見方で語ることができます。
決まった場所で実施すべき講習会だったのですから、安全確認もされていない場所で、予定にない訓練を思い付きで実施すべきではありませんでした。
もしこのような雪中歩行訓練を実施するつもりだったのであれば、雪が降った場合に実施する訓練として事前に予定に組み込んでおくべきでした。
そして事前に訓練場所として地形的に安全な場所を選定し、当日の積雪状態を確認するなど下見まで実施すべきだったはずです。
比較的自由にルートや訓練場所を選定できたのですから、積雪があったとしても安全に訓練を実施できる場所を事前にいくらでも選定できたはずです。
そのような事前の準備がなかったのであれば、雪中歩行訓練は実施すべきではなかったと言えるでしょう。
また、この講習会は部活動としての側面もありました。
引率の教員には事故防止に関する重い注意義務があり、学校の活動として危険な行動はすべきではなかったはずです。
多量の降雪があった翌朝にリスクのある訓練は実施すべきではなかったと言えるでしょう。県教委からそのような通知も出ています。
登山行動としての側面で捉えると危険だからと言ってなんでも中止にしてしまえば力量が上がらないという問題があるかもしれません。
しかし、事故防止に関する重い注意義務があるはずの部活動でそのようなリスクをとることは問題があるでしょう。
切り口によって見方も異なり、異なった意見がでます。
いろいろな切り口で事故を検証し、再発防止の施策についてもいろいろな切り口で見るべきだと思います。
しかし、那須雪崩事故の事故検証委員会や高校生の登山計画を審査する登山計画審査会ではこの事故や山岳部の活動を単なる登山事故・登山活動として捉えており、講習会としての側面や部活動としての側面を見落としていることが多くあるように思え、問題があると感じています。
それは検証委員会や計画審査会が登山家や登山経験者が大勢を占めるような構成であるためと思われます。
講習会として、部活動として、山岳部の活動を今後どうしていくべきかは議論が不足しているように思います。
また、議論そのものが不足していると思われる点もあります。
事故後、今後山岳部の活動で雪上活動を再開することを認めるか否か登山計画審査会で議論になりました。
その議事録を読む限り、雪上活動を「できるかできないか」といった表面的な話だけがただ話し合われているように見えました。
安全に雪上活動を実施するためになにが必要なのか、現状ではなにが不足しているのかという技術的なことは議論されていないようでした。
そして、その結論は「現場の教員は雪上訓練にナーバスになっており、現状で(雪上活動を)認めることはできない」というお粗末なものでした。
事故から時間もあまり経っておらず、引率する教員が嫌がっているからやらないそうです。これではただの精神論です。
「登山活動として」、「講習会として」、「部活動として」など、本来なら雪上活動を再開するために必要な施策をいろいろな切り口で議論すべきでした。
そして必要な施策を実施するためのロードマップを技術的に明らかにし、実現可能かどうか検証すべきでした。
このような必要な議論もできず、精神論でしか物事を語れないのであれば、今後も栃木県の高校山岳部は雪上活動をすべきでないと私は感じています。